Linux版Renoiseを使うにあたって、"Ubuntu Studio 8.04" の日本語化を試してみました。 Ubuntu Studioとは、Linuxの一種であるUbuntuのバリエーション・パッケージで、音楽と映像分野に特化したソフトが多数収録されています。 僕自身Linux初心者なのでまだあまり専門的な事は書けませんが、参考になれば幸いです。
2008/12/1現在: 8.10 は既にリリースされていますが、リアルタイム・カーネルが使われていないそうです。 それでも問題なくRenoise は使えるそうですが、 リアルタイム・カーネルが導入される 8.10.1 がリリースされた後に、 またこのページも検証し直してみたいと思います。 とりあえず今は hardy (8.04) となっている所を Intrepid (8.10) に置き換えて 読んでください。
Renoise 2.0 のリリース準備として、"PAMの設定" 欄を追記しました。
Ubuntu Studioを導入する利点として、
等が挙げられます。さらに画像・映像系ソフトもたくさん入っていて、まさしくクリエーター向けパッケージです。
まずリンク先のダウンロード・ページから、ISOイメージ・ファイルをダウンロードしてください。普通は "PC (Intel x86) alternate install DVD" と書いてある所をクリックしてダウンロード出来るバージョンを使います。 その .iso という拡張子のファイルを、ライティング・ソフトを使ってDVD-RやRW等に書き込んでインストール・ディスクを作ります。
インストール・ディスクが出来たら、それをディスク・ドライブに入れてからパソコンの電源を入れます。 普通はそれで自動的にインストール・メニュー画面が表示されます。 他のドライブが先にブートされてしまう場合はBIOSでブートの順番を変更してください。
ちなみにUbuntu StudioにはLive CD版は無いので、インストール・ディスクから直接起動させる事は出来ません。
インストール画面はノーマルのUbuntuのような親切なGUI表示ではありません。 ただ、やっている事は同じですし言語選択で日本語も選べますので、初心者の方でもUbuntu用のガイドブック等を参考にすれば大丈夫だと思います。 『Install Ubuntu Studio』というメニューを選んでインストール開始です。
特にパーティションの設定は十分慎重に作業してください。一つのハードディスク上でのデュアルブートを考えている場合は最悪の事も考えて、元からあるOSの復旧ディスクや大事なデータのバックアップもしておきましょう。
下のコラムはノーマルのUbuntuのインストールガイドです。見た目は違いますが、2ページ目の注意書きや4ページ目からの手順はほぼ同じなので参考になるでしょう。
■ 日経Linux - Ubuntu 8.04 インストールガイド ■
インストールを進めて行くと、ソフトを選択する画面が出ます。
これら5つの中から必要なものに*印を付けます(スペース・キーを押す)。多分4つ目は必須かな? まぁ、せっかくなので全部付ければいいと思いますけど(笑)。
無事、インストールを完了したら、まずネットの設定と更新。
[システム] >> [システム管理] >> [ネットワーク] を開いてお使いのネット環境に適した設定をします。[ロックの解除]というボタンをクリックしてパスワードを入力しないと設定を入力出来ません。 起動後、初めてシステム関連のメニューを開く時は必ずパスワードを求められますので、ログイン時のパスワードを入力します。
[システム] >> [システム管理] >> [アップデート・マネージャー] を開いて最新の状態に更新しておきましょう。
全ての更新が終わったら再起動。
再起動時、電源が入って一番最初にGRUBというブートローダー画面になります。 そこで、[ Ubuntu 8.04,kernel 2.6.24-16-rt ] を選んでEnterを押すと、Ubuntu Studioのログイン画面になります。 ちなみに最後の " -rt " が、リアルタイム・カーネルを表しているそうです。
■追記■・・・デュアル・ブートの場合、初期設定ではGRUBの一番上に表示されているOS(Ubuntu)が選択状態になっていますが、その初期設定を変更出来るアプリがあります。[システム] >> [システム管理] >> [Synaptic パッケージマネージャ] から『startup manager』というアプリにマークを付けてインストールします。そうすると[システム管理] 欄にStartUp-Managerが追加されますので、それを使えばGRUB内で初期選択するOSの設定や待ち時間の変更等が可能です。
聞きなれない言葉ですが、リポジトリとは『ソフトのデータを保管してあるネット上の倉庫』みたいなものです。 そこのURLをリストに追加登録して、日本語化に必要なソフトをダウンロードします。
詳しい事は■ Ubuntu 日本チームの日本語環境についてのページ ■を参照してください。一番下に方法が書いてあります。(追記:どうやら僕が試した時とは違う方法で説明されているようです。リンク先の方法の方が僕の説明より簡単に日本語化出来ると思います。)
■ [システム] >> [システム管理] >> [ソフトウェア・ソース] を開きます。
[サードパーティのソフトウェア]タブを開いて [追加] ボタンで下の2つのURLを一つずつ追加します。
deb http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja hardy/ deb http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja hardy-ja/
上の図の様に追加できたら、[閉じる] >> [再読込] >> (ここで幾つかソフトが読み込まれます) >> [閉じる] 。途中エラーが出ますが気にせずに。
■ [システム] >> [システム管理] >> [Synaptic パッケージマネージャ] を開きます。
『ubuntu-desktop-ja』というパッケージを探して、左の四角ボタン上で右クリックし、メニューの [インストール指定] を選択。 警告が出ますが気にせず [マーク] をクリック。
すると自動的に『ubuntu-ja-keyring』と『ubuntu-ja-setup-helper』にもマークが付くと思います。
その状態で、上の [適用] ボタンを押すとインストール完了。再起動。 (Ubuntu日本チームのページでは『ubuntu-ja-keyring』だけにマークするように書いてあるので、他は必要ないのかもしれません。僕が試した時は何度かやり直さないとインストールが完了出来ませんでした。一応インストール済になったかどうかも確認してください)
再起動から立ち上がった時点で、既に日本語化された状態です。後は必要に応じて日本語入力ソフトを設定します(特に設定しなくてもOK)。
■ [システム] >> [設定] >> [SCIM入力メソッドの設定] を開きます。
そこで必要に応じてキーボードの設定をします。 [IM エンジン] >> [全体設定] の言語リスト内の『日本語』にチェックが入っているか確認してください。
ちなみに『Anthy』というのが日本語入力ソフトの名前です。
■ 日本語入力への切り替えはESCキーの下の半角/全角キーです。日本語入力する時、画面右下に出る言語バーに『Anthy』と表示されていれば日本語変換できるようになります。
注) Renoise自体は、現在の所、"日本語表示"は出来るんですが"日本語入力"には対応していません。
この場合は普通にダウンロード・ファイルを解凍して、フォルダの中にある『renoise』というアイコンをダブルクリックするだけ。 インストールというか、単なる起動ですね。
[アクセサリ] >> [端末] を開きます。 例えば、Homeディレクトリに解凍したRenoise_2_0_0_Regフォルダがある場合、端末に次の順番で入力します。
$ cd /home/ユーザー名/Renoise_2_0_0_Reg $ sudo ./install.sh パスワード入力:
これでインストール完了です。
$ renoise
と端末に入力すればRenoiseが起動します。また、[サウンドとビデオ] >> [Renoise] からでも起動できます。
アンインストールする場合は、
$ cd /home/ユーザー名/Renoise_2_0_0_Reg $ sudo ./uninstall.sh パスワード入力:
です。
Renoise 2.0 から、PAM というものの設定が必要になりました。以下、直訳気味ですが方法を説明します。(私もあまり自信が無いので間違っている所はご指摘頂けると助かります)
ALSA や JACK を低レーテンシーで使用するには Renoise がリアルタイム・スレッドを作る事を許可する必要があります。リアルタイム・カーネルはここでは助けになりません(自動的に必要な設定を行ってくれません)。あなたはリアルタイム・スレッド・クリエイションをPAMによって許可しなければなりません。
RT スレッド・クリエイションを PAM によって許可するには:
/etc/security/limits.conf ファイルを root 権限で開く(又は sudo によって)
そして、ファイル内の終わり部分のどこかに次の設定を書き加えます。
あなたのユーザー名 - rtprio 99 あなたのユーザー名 - nice -10
そして、保存。ログアウト。ログイン、で設定完了です。
また、"Audio" グループを作っておく事も可能です。そのグループにあなたのユーザー名を追加し、上記の "あなたのユーザー名" と書いた部分を "@Audio" に変更します。
PAMの設定がうまく動作しているかどうかを確認するには、Renoise を起動して、Preferences パネルのオーディオ・ALSA 欄にある "Realtime threads" オプションをオンにしてください。もし RT スレッド・クリエイションが失敗している場合は次のような警告メッセージが表示されます。
PAM や低レーテンシー化について、もっと詳しく知りたい方は次のページ(英語)を参照してください。
■ http://tapas.affenbande.org/wordpress/?page_id=73 ■
最初Renoiseを起動すると、オーディオ設定欄ではALSAデバイスが選択されていると思います。ALSAでも問題無いんですが、Jackデバイスを介する事で他のソフトとの連携等、オーディオ環境の自由度が増して応用も効くようになります。
Ubuntu StudioにはJack Control(QjackCtl)というアプリケーションが入っていますので、これを使ってJackの設定をします。[サウンドとビデオ] >> [Jack Control] で起動します。
Jack Controlの『Setup』欄を開いて、各値を適切に設定する事でオーディオ再生が安定し、レーテンシーも下げる事が出来ます。ただ僕も、各数値に関してあまり自信が無いので、Renoiseを再生しながら試行錯誤したり検索で調べたりしてみてください。少なくとも
"Realtime" に印を付けて "Priority" を最大(89)にする。 "Periods/buffer" を "3以上" にする。
と良いようです。("Realtime" オプションに関しては、リアルタイム・カーネルを使っていない場合はチェックを外してください)
■ 本家Tutorial Setting Up Linuxページ ■