Renoise 2.6 が開発者向けのリリースだったのに対して、Version 2.7 はサンプリング、インストゥルメント、オートメーション、DSP 等について改良を施した、まさしく Renoise の正常進化版になっています。 ![[smile]](image/face/smile.png)
インストゥルメントのリデザインとサンプル・キーゾーン †
Renoiseのインストゥルメント構造がリニューアルされました。焦点となるのは、オーバーラッピングやベロシティ、キーリリース・マッピング等に対応した新しいキーゾーン・エディターです。サンプル・キーゾーン・エディターは見た目も新しくなり、ドラムキット生成機能、チューニングのオプション、サンプル・プロパティ、ループモード等も改良されています。また、新しいリアルタイム・レンダリング・モードでは Line-In Device から入力される外部音源の音も録音出来るようになりました。Renoiseとノート・パソコンさえあれば、もう古いハードウェア・サンプラーは必要無くなるでしょう。
- インストゥルメント毎の "Sample Keyzones" GUI エディター
- サンプルを異なるベロシティ・レンジにマッピング可能
- キーを押した時だけでなく、キーを離した時のマッピングも可能(Note-On Layer/Note-Off Layer)
- サンプルを重ねて、オーバーラップするセクションを生成可能
- キーゾーン毎にエンベロープのオン・オフを設定可能
- ループ設定されたサンプルのリリース・オプション・ボタン追加(キーを離した後にループマーカーより後ろを再生)
- BeatSync設定を基にして、Transpose や Finetune の値を設定するオプション・ボタンの追加([T]ボタン)
- MIDI インプットは、個々のインストゥルメントやトラックにルーティング可能
- ドラム・キット生成やキーボード・レイアウト生成機能の改良
- サンプル・エンベロープに "Points" モードの追加
- サンプル毎の Autofade セッティング追加(サンプルの初めと終わりに短いフェードを掛けてクリック音を防ぐ)
- 複数のサンプルを選択して、プロパティの編集を一度にまとめて行える機能の追加
- インストゥルメント・プロパティGUIの前面見直し(下部フレーム内に移動)
サンプル・スライス・マーカー †
新しいスライス・マーカーはRenoiseのブレイクビートをまた一歩進化させます。ボタンをクリックするだけで、あなたのサンプルはスライスされキーマッピングされます。それは単にビート・スライサーとしてだけでなく、例えばボーカルやサウンドスケープのような長いサンプルを操作するのにも役立つでしょう。
- サンプルの山を自動的に検知し、そこにマーカーを設定
- 手動でマーカーの追加や位置調整が可能(マーカー追加は右上の[SLICE]ボタンをオンにする)
- 各スライス・サンプルをキーボードでトリガー可能(まるで普通のサンプルのように)
- 各スライス・サンプルを 09 コマンドでトリガー可能(09 + マーカーの番号)
- 各マーカーをスタート地点としてそれ以降の部分を再生するオプションを追加(右上の小さなボタン)
- スライス毎に、ループやボリューム等のサンプル・プロパティを設定可能
オートメーションの改良 †
改良されたオートメーション画面では、曲全体にズームアウトしたり、一部分の解像度を上げるためにズームインしたり出来るようになりました。マウスでの操作性も向上し、DRAWモード、区間選択、右クリックメニュー等が改善されています。
- オートメーションの解像度は1ラインにつき 256 ステップに増加
- ズーム・レベルは、全体のエンベロープの倍数あるいは分数を選択可能
- 数値ポイントは、グリッド、ライン、又はビートにスナップさせる事が可能
- Follow mode をオフにすれば、再生位置と違う部分を編集可能
- 区間選択は [左クリック&ドラッグ]、ポイント移動や数値変更は [選択されたポイントをドラッグ]
Track DSPs †
内蔵エフェクターとして "Comb Filter" が追加され、オーディオ・シグナルを帯域で分けて3つのセンド・トラックに送信できる "Multiband Send" デバイスが追加されました。また、内蔵イコライザーのグラフ上のポイントをマウスでドラッグする事で各帯域設定を変更できるようになりました。
- 周波数帯域を3つに分け、それぞれ別々のセンド・トラックに送信する事が出来る "Multiband Send" device の追加
- "Comb Filter" device の追加
- 内蔵イコライザーのグラフ上のポイントをマウスでドラッグして、周波数帯域とゲインを変更可能(右ドラッグでQ)
- 各デバイスはリネーム可能
- デバイス・チェインやデバイス上の右クリック・メニューから、DSP チェインをロード/セーブ可能
- DSSI プラグインはGUI上からのMIDIノート・イベントを扱う事が可能
- DSSI プラグインのウインドウは常に最前面に表示
レコーディング & MIDI †
- MIDI インプットは各インストゥルメントや各トラックにルーティング可能
- メトロノームのプリ・カウント機能追加
- MIDIノート・イベントのライブ録音時に、多くの Undo/Redo ステップを記録しなくなりました
- Preferences の MIDIマスターキーボードのポートが4つに増加(A~D)
- パターン・クオンタイズの設定は、曲毎ではなくグローバル設定として保存されるように変更
オーディオ・レンダリング †
- リアルタイム・レンダリング・モード:外部MIDI音源やハイブリッドVSTiを line-input デバイスを介してレンダリング可能
- プラグイン・グラバーに Mono/Stereo/Auto オプションの追加
- "Render Selection To Sample" 使用時、マスタートラック上の DSP は通さずにレンダリングするように変更
その他の変更や修正 †
- ソロ/ソロ解除操作をした時、以前のミュート状態を再現するように変更(PreferencesパネルのMisc欄の一番下で設定)
- マスター・スペクトラム画面に位相メーターの追加
- トラック&マスター・スコープ画面での波形表示の左側が常にゼロ・クロス地点から表示されるように変更
- トラック毎のオーディオ・ヘッドルームが変更可能になりました(以前はクリップを防ぐ為に -6dB 固定)
- パターン・マトリックスをクリックした時、フォーカスが自動的に移動しなくなりました
- ディスク・ブラウザ画面で、沢山の XRNX/XRNI ファイルが入ったフォルダの表示スピード・アップ
- "Autoseek" が設定されたサンプルは、エンター・キーを押す事でライン毎にトリガー可能になりました
- ズーム可能な画面のスクロールバーをダブルクリックする事で全体にズームアウト可能になりました
- Lua API のアップデート
■注意■ Renoise 2.7 でセーブした曲ファイルは、2.6以前のバージョンでは開けなくなります。また、V2.6用に作られたスクリプト・ツールはV2.7では使えません。スクリプト・ツールもアップグレードする必要があります