Renoise 1.9 の改良点: ■■■ マルチ・コア対応 ■■■ ◎Renoiseのオーディオ・エンジンは並列的なオーディオ・プロセッシングに対応しました。  つまり、複数の物理的なCPUをリアルタイム・オーディオ・プロセッシングに使う事が出来ます。  CPUが1つ増える毎に1.2〜1.8倍のオーディオ性能のスピードアップが期待出来ます。 *P4等のハイパースレッディング(HT)CPUには非対応。2つのCPU=パフォーマンス2倍には、そう簡単にはならない(複雑にセンド・トラックを使ったりすると、オーディオ信号をうまく振り分けられない場合があるそうです)。 *ベータテストにおいて、AMD製のデュアル・コアCPUを使っていると何もしていないのにCPUメーターが振り切れてしまう、というような症状のレポートがありました。  現在ではその症状の回避策がとられていますが、もしそういう症状が引き続き出る場合は、AMDデュアルコア・オプティマイザー( http://www.amd.com/us-en/assets/content_type/utilities/Setup.exe )というソフトをインストールする必要があります。 *CachedVSTs.xmlファイルに"SupportsMultiProcessors"というオプション項目を追加。マルチ・プロセッサー処理するとクラッシュするようなVSTがある場合、この項目を"true"から"false"に変更すれば、シングル・プロセッサーだけで処理するように出来ます。  SynthEdit製のVSTは、マルチ・プロセッサーに対応したSynthEditのニューバージョン(まだ未発表?)でアップデートされない限り、Renoise内ではマルチ・プロセッサー処理はされません。そうしないとRenoiseがクラッシュする可能性があるそうです。 ■■■ 内蔵エフェクターの一新 ■■■ ◎プリセット・ハンドリング  +ファクトリー・プリセット(読み込みのみ可能、インストール済みプリセット)を全ての内蔵エフェクターに追加。  +ユーザー・プリセットを簡単にロード・セーブ可能。   インポート・エクスポートも可能なので気に入ったFXセッティングをユーザー同士でやりとり出来ます。  +A/Bプリセット比較ボタン追加。曲単位でセーブされ、ライブで素早く設定を変更したり、2つのプリセットを簡単に比較する事が出来ます。  +DSPチェインの個々のエフェクターに付いている小さな左右の三角ボタンを"右クリック"すると、そのエフェクターはDSPチェインの先頭または最後尾に移動するようになりました。 ◎内蔵デバイスのオートメーション可能な項目の追加(フィルター・タイプの選択など)  デバイス・チェイン画面でボタンやスイッチで表示されている項目も、右クリックすればパターンやオートメーション画面に記録する事が出来ます。  FXデバイスのオン/オフ・コマンド(xf00/xf01)も、デバイス画面のボタンを右クリックすればパターンに自動的に記録されます。 ◎デバイス内の選択肢の限られた項目(オン/オフ・スイッチやフィルター・タイプ選択)は、オートメーション画面で適切に情報表示されるようになりました(パーセント表示されません)。 ◎新たに追加された内蔵エフェクト・デバイス:  +Bus Compressor:   フィード・フォワードとフィード・バック(RMS vs Peak)の複合型コンプレッサー。   その繊細なプロセッシングは最終ミキシング段階で非常に役立ちます。  +Maximizer:   全体的なサウンドを大きくパンチのあるものに簡単に出来るコンプレッサー・リミッターです。   また、マスタートラックの最後に挿入すれば、シンプルなピーク・リミッターとして使えます。  +Chorus:   シンプルですが、力強いクラシック・コーラス・エフェクターです。  +Distortion 2:   4つの異なるディストーション・モードと音色調整機能を持ったニュー・デバイスです。   以前のDistortionはリストから外れました(過去の使用曲をロードした場合のみ出現します)。  +Gate 2:   インプット・フィルターとダック・モードを持つゲート・エフェクターです。   以前のGateはリストから外れました(過去の使用曲をロードした場合のみ出現します)。  +*Velocity Device:   MIDIキーボードを弾く力(Velocity)やパターンに記録したVolume値によって   他のFXパラメーターをオートメーションさせる事が出来る新デバイスです。 ◎以前からある内蔵デバイスの改良:  +"ポスト固定パネル"(ミキサーの"post"フェーダーと同じもの)がデバイス・チェイン画面でも表示されます。  +"*LFO Device"にカスタム・エンベロープ・モードを追加。LFOエンベロープを自由に描けます。  +"*LFO Device"のfrequencyパラメーターはLines Per Cycle(1周期に何ライン進むか)で表示されます。   これで簡単にLFOをパターンに同期させる事が出来ます。  +"MIDI-CC Device" の小改良。CCナンバーを"OFF"に設定出来るようになりました。   初期設定では全てのパラメーターがOFFになっているので、以前のようなスタンダードMIDI-CCセッティング(あらかじめVolumeやPanのCCナンバーが表示されている設定)にしたい時はプリセットをロードしてください。  +旧mpReverbはmpReverb2にアップグレードされました。(thank Mindplay!)   Color, Width パラメーターが追加されています。   以前のmpReverbはリストから外れました(過去の使用曲をロードした場合のみ出現します)。  +EQ10 と EQ5 の帯域周波数とQが自由に調整可能になりました。  +全てのイコライザー(EQ)はチャンネル・プロセッシングを選択可能になりました(L, R, L-R, L+R)。  +EQ5, EQ10, MixerEQ にグラフ表示を追加しました(dBスケール調整可能)。  +Filterの名称が変更されました。呼び方は変わりましたが、機能は以前と全く同じです。   (Filter2、ChorusとFlangerに付属のフィルタ、インストゥルメント・エディターのフィルタ内の、-12, -24, -48 と呼ばれていたフィルタ。2×2 Pole, 2 Pole, Biquad に変更されました)。  +Delayデバイスにディレイ音のパン・コントロールを追加。   また、ディレイ音がパターンラインに同期するように"BPM sync"ボタンも追加。  +Gainerデバイスに位相反転スイッチを追加。  +Flangerにフィルター・コントロールを追加。LFOの改良。  +Phaserのステージ数が調整可能に(オートメーションも可能)。  +amplitudeに関わる全てのデバイス(Gate, Compresser)にオーディオ・メーターを追加。  +Stereo Expanderデバイスにも"Surround width"パラメーターを追加。 ■■■ MIDIタイミングの改善(Windows) ■■■ ◎WDM MIDI デバイスの対応  +もしあなたのMIDIドライバが新世代のWDM(DirectMusic) MIDI ドライバを装備しているなら、   Renoiseは旧世代のWindows Music (MME) MIDI ドライバ以外にそれを検知します。   WDM MIDI ドライバはMIDIインストゥルメントやMIDIクロックをより正確なタイミングで制御出来ます。   あなたのMIDIデバイスとドライバが MIDIタイムスタンプに対応していれば、完璧な(サンプル単位の精度の)タイミングになります。  +旧世代のMMEドライバ(ほとんどの場合はこちらを使用しています)もタイミングは改善されています。   RenoiseからのMIDIアウトプットは以前よりタイトなタイミングになっているはずです。 ◎MIDIクロック・スレーブの改善(ライブ・ジャミング・モード):  (*この項目については訳に自信がありません。僕の持っている外部機器が古くて、これら全ての機能を確認出来ないんです*)  同期再生中にRenoiseを停止した時、再びRenoiseを再生させるだけで曲のどこからでも再スタート(再同期)出来ます。  Renoiseは、もはやマスター機器の絶対的なソング・ポジションに縛られません(注:syncs Bar wise to the master - この意味がよくわからないので訳せません)。  ですから、同期再生中に自由にシーケンサー画面を動かせます。  またRenoiseは、新しい曲をロードしても時間軸をキープします。  つまり、まず演奏をスタートさせ(マスター機器のスタートを押すと、Renoiseはマスターバーがどこからスタートしたかを記憶します)、  それから好きな時にRenoiseの再生を止めて新しい曲をロードします。  準備が整ってRenoiseの再生を開始(スペース・キー)すると、既に再生中のマスター機器に自動的に追従します。 ◎MIDIクロック・マスターの改善(自動的なスピード・チェンジの対応) ◎WindowsでのMIDIデバイスのシェアリング:  あなたが自分の意思でMIDIデバイスを選択しない限り、RenoiseはMIDIデバイスを開きません。  この方法なら、起動中の他のアプリケーションとMIDIポートを分け合う事が出来ます。  またこれは、いくつかのASIO関連の問題も解決します("Microsoft GM Synth"の使用が原因のASIOドライバ初期化失敗など)。 ◎OSXでのMIDI hot-pluggingの対応    Renoiseの起動中に、Firewire や USB MIDI 機器を繋いだり外したり出来ます。Renoiseはそれらを瞬時に検知します。  またこれは、Renoise起動中に立ち上げた他のアプリケーションが創り出す"バーチャル"なデバイスについても有効です。 ■■■ サンプル・エディターの改良 ■■■ ◎サンプル・エディターに"Beat, 09 effect, ms, sample"ルーラー(サンプルの上下に表示される目盛。右クリック・メニューで選択)を追加。  また、これらの単位を使って選択地点を自動的にスナップさせる事が出来ます(右上のセレクターで選択)。 ◎サンプル・エディターにスナップ・オプションの追加。(画面右上。ショートカットは Ctrl + 0,1,2,3,4,5,6 ) ◎マウスの中央ボタンを押すと、サンプルエディター内のサンプル試聴をトリガー出来ます。長いサンプルのクイック試聴等に役立ちます。(サンプル波形上の任意の場所にカーソルを動かして中央ボタンを押すと、その部分以降の音が聴けます。) ◎サンプル・エディターのレコーディング・パネルの"Sync start & stop"でPatternを選択している場合(パターン同期録音)、Renoiseの再生ボタンを押さなければ録音が始まらないようにしました。例えば、外部シンセの音を同期録音したい場合に便利です。 ■■■ シーケンス画面の改良 ■■■ ◎パターン・シーケンサー画面に"join selection"コマンドの追加。シーケンス画面上の2つ以上のパターンを選んで、右クリック・メニュー内の"join selection"コマンドを使うと、1つの大きなパターンに結合されます。 ◎ハイライト表示の設定を追加。(Song Settings >> Pattern/Seq. Highlight)。 ■■■ ライブラリーの充実 ■■■ ◎Disk Browser画面に"Library"ボタンの追加。プレ・インストールされているデモ曲やDSP chain等のフォルダを表示します。DSP chainについては、今後もどんどん追加されていくそうです。 ◎初心者向けのシンプルなインストゥルメント・ライブラリ(1.6MBのデモ・サンプル)が追加されました。  これは、全くインストゥルメントやサンプルを触った事の無い新規ユーザー向けに作られたものです。  (Disk Browser の Instrument か Sample カテゴリーを選んで、左側の"Library"アイコンをクリック。または普通にRenoise フォルダ内の Instruments フォルダを開く) ■■■ その他 ■■■ ◎DiskBrowserに検索窓を追加。 ◎Disk Browser画面で、検索boxの表示・右クリックメニュー内の"Sort"オプション・"Show all files"ボタンの設定は、それぞれのカテゴリー(Songs/Samples/...)毎にメモリーされるようになりました。 ◎Audio Preferencesパネルに"ReInitialize"ボタンを追加。現在のセッティングでオーディオ・デバイスを再初期化出来ます。 ◎PreferencesのASIOの項目に、現在のドライバのブロック・サイズ(レーテンシー)表示を追加。 ◎Windowsに新たな"ソフト"フルスクリーン・モードを追加。  モニターの解像度を変えずに、どんなモニターでも使用可能(一画面以上の場合、第一画面だけじゃなく)。  これはまた、以前のフルスクリーン・モードでいくつかのVSTのダイアログが正常に表示されなかった問題も解消します。 ◎NNAs (New Note Actions) はインストゥルメント毎ではなく、サンプル毎に調整出来るようになりました。 ◎サンプル補正モードは、サンプル毎に調整可能になりました(初期設定ではcubic interpolation)。  Argurus sincはディスクに書き出す時のcubicモードだけ取り替わるでしょう。 ◎パターン・ライン・ハイライティングとパターンの長さの初期設定は曲毎にセーブされます。(PreferenceからSong settings画面に移動しました) ◎DC filterやソフト・クリッピングなどのマスタリング関連のオプションは、Preferenceからマスタートラックのデバイス・チェイン画面に移動しました。  その設定は曲毎にセーブされます。 ◎クリップの防止や修正にもっと役立つようにピーク・レベル表示をマスタートラック・ボリューム・デバイスに追加。 ◎"AMIGA/FT2 pitch mode"は"09 Offset AMIGA/FT2 mode"とは別に設定可能になりました。 ◎FLACの仕様を1.1.4にアップグレードしました(いくつかのエンコーディング問題の修正と、エンコード/デコード性能の改善)。 ◎テキスト入力で、ヨーロッパの特殊な文字への対応。 ◎88.2 khzでの曲の書き出しオプション追加。 ◎drumkit instrument に新しいサンプルを追加した場合、インストゥルメント・エディターでのキーの振り分けとベース・ノートの設定が自動的に行われるようになりました。 ◎コンピューターがサスペンドモード(スタンバイ)で一時停止・再開をした時、オーディオとMIDIのIOも停止・復活の動作が行われるようになりました。これによって、サスペンドモードから復活した時の酷いASIOの問題が修正出来る事を期待します。 ◎Renoise内でVSTがクラッシュした場合、その内容を知らせるメッセージ・ボックスを表示するようにしました。 ◎マスター・キーボードを使ってMIDI インストゥルメントを演奏した時、MIDI out は、もはやディレイを発生させません(オーディオ・レーテンシーが発生しない)。 ◎起動時のVSTスキャン(新規のVSTがあるかどうかのチェック)が以前より少し速くなりました。 ◎Mac OSXで、Audio Device hot-plugging に対応。 ◎Vista の新しい"Pro Audio" マルチメディアAPIs を使う事による、オーディオ・パフォーマンスの向上(再生音ががたつかないように)。 ◎再生音のがたつきを避ける為に、様々な箇所で少しずつオーディオ・パフォーマンスが改善されています(特にASIO/Core Audio のレーテンシーをもっと小さく出来るように)。 - その他…さまざまな細かい改善。