RenoiseをReWireスレーブとして扱う場合、Renoise側の最初の音が鳴らない問題について ########## この問題の原因 ########## この問題はRenoiseのPDC機能と関連しています。以下でその原因を説明します。 例えば、もしRenoiseでトラック1にBus-compresserを使うとすると、2ミリ秒のレーテンシーが発生します。 その時間的ズレを補正するためにRenoiseのPDCはトラック1以外の全てのトラックを2ミリ秒遅らせます。 これでRenoise内では完璧な再生が可能になります(全体的には発音が2ミリ秒遅れる事になります)。 この状態で、RenoiseをReWireスレーブとして扱うとします。残念ながらReWireはPDC情報を扱えないので、 単純に再生するとRenoise側が常に2ミリ秒遅れる事になってしまいます。これではマズいので、 この場合RenoiseはReWireマスターとの同期の時間軸を2ミリ秒前にずらします。 例えば、ReWireマスター側で1ミリ秒の時点を再生している時、Renoise側では3ミリ秒の時点を再生します。 これで両者の同期は保たれますが、ここで別の問題が生じます。 例えばReWireマスター側でビート・ポジション [2.1.1] から再生する場合、 Renoise側は [2.1.1+2ミリ秒] の時点から再生が始まります。つまり、この時間的ズレが問題で、 Renoise側の [2.1.1] にもしノートが存在する場合、その音が鳴りません。 もしRenoise側で再生操作をする場合は、マスター側に「ボジション [2.1.1−2ミリ秒] から再生してほしい」 と伝えますので、この問題は避けられます。ただし、ビート・ポジションが [1.1.1] の場合には このトリックも無効になってしまいます。 つまり、ビート・ポジション [5.1.1] から再生する場合: ■ PDCがオンの場合、ReWireマスター側で再生操作すると、Renoiseの [5.1.1] にある最初の音が鳴りません。 ■ PDCがオフの場合、ReWireマスター側で再生操作すると、Renoiseも [5.1.1] から再生されます (ただし、Renoise内ではプラグイン・レーテンシーに関するズレが発生する)。 ■ PDCがオンでもオフでも、Renoise側で再生操作すると、問題は起こらない (ただし、ホストによってはスレーブからの再生操作をうまく扱えない場合がある)。 ########## 対処法 ########## RenoiseをReWireスレーブとして使う場合、環境設定パネル(Preferences)のオーディオ欄に "Automatically compensate latencies" というボタンが追加されました。 これはReWireマスターとRenoiseの時間軸の自動調整を行うか行わないかを設定するボタンで、 初期設定でオフになっています。これによって、再生開始時点の音が鳴らないという問題は避けられるはずです。 ただし、もしRenoise内でレーテンシーが大きいプラグインをたくさん使っている場合は、 ReWireマスターとの発音のズレが顕著に出ます。その場合はこのボタンをオンにした方がいいでしょう。 単に再生開始時点の音が鳴らないというだけですから。 ########## 補足 ########## ReWireホストの中には、上記の問題とは関係無く、再生開始時点の音が鳴らないものもあります。 それに関しては、それぞれのホスト側の個別の問題が絡んでいると思われます。