ここのフォーラムで
「Selection Shaper」という波形を生成・変形する事が出来るツールを作って頂いて以来、Renoise 3.0 による音作りを楽しむようになりました。「Selection Shaper」の場合は、ごく短い波形(サイン波、ノコギリ波、矩形波、三角波)を元にして、それを変形させていく事で音を作るという面白さがありました。
そして、以前からもう1つ気になっていた波形を生成するツールがあります。それが「PadSynth」なんですが、今までそのインターフェイスの意味不明さを克服できずにいました。とにかく、パッと見てわけわからんかったんです…(;^ω^)。しかし、音作りを考える良い機会なので、細かく試してみる事にしました。

- ps_ss.png (16.8 KiB) 表示数: 9424 回
■ 導入 ■まずPadSynthは、(今の所)Renoise 3.0に正式対応していません。ただ、ソースコード内を覗いて、Apiのバージョン番号を3から4に変えるだけで一応動くようになります。幾つかの機能は使用不能となりますが、波形を生成する事については問題ありません。まぁ、もしフル機能を使いたい方はRenoise 2.8で使ってください。

追記
英語フォーラムの方で3.0に対応させてくれた方がいました。完全ではありませんが、ユニゾン機能も使えるみたいです。
幾つかの不便も無くなっているので、とりあえずは
このバージョンをお薦めします。
リンク先の最後尾にあるファイルです。
http://forum.renoise.com/index.php/topi ... nth/page-4また、PadSynthの正式なダウンロード・ページはこちらです。
http://www.renoise.com/tools/padsynth起動方法は、インストゥルメント・セレクター画面で右クリック・メニューを開き、「~PadSynth Instrument...」をクリックします。
#########################################################
使い方(重要な部分だけ説明します)#########################################################
■ スライダー群(倍音列) ■まぁ見た目で一番気になってたのがここですね。最初はここにマウスで波形を描くのかぁ?とか思ってました。
これは実は倍音成分を表してまして、左端の1が基音、2以上が倍音です。
例えば、左端の1~4のスライダーを全て上げた状態で、一旦波形を生成します。
そして、A-4の鍵盤を押さえると、
1=440Hz
2=880Hz
3=1320Hz
4=1760Hz
という4つの倍音成分を持った音が鳴ります(当然、4つの音が混じり合って一つの音に聞こえます)。
Renoiseのスペクトラム画面ではこんな感じになります。この図を見れば、少しは合点がいってもらえるんじゃないでしょうか?
(デフォルトでは低音側を広く表示するスケーリングになっているので、スペクトル画面上で右クリック・メニューを開き、Frequency Scaling を "Logarithmic" から "Linear" に変更してください。)

- ps_explain_01.png (3.43 KiB) 表示数: 9426 回
ちなみに、サイン波というのは全く倍音の無い音ですので、1のスライダーだけを上げればサイン波の波形が生成されます。
ノコギリ波は右肩下がりな感じで全てのスライダーを上げれば、それっぽい音になります。
同じく右肩下がりな感じで1,3,5,7...と奇数の倍音だけ上げて行くと、矩形波や三角波っぽい音が生成されます。
それら基本波形のスライダーの状態を簡単に再現してくれるのが、スライダーの下に並んでいる [Saw],[Square],[Triangle]等のボタンです。
で、このスライダー列は4ページ分ありまして(◎_◎;)、1~256倍音まで再現できるようになっています。ですが実際は、1ページ目の40~50倍音くらいまでで(しかも数本のスライダーを動かすだけで)十分な音になりますので安心してください。
■ Spread パラメーター ■多分、ここがこのツールの肝になる部分だと思います。たった2つのノブですが、結構音が変化します。

- ps_ss_spread.png (1.68 KiB) 表示数: 9424 回
- Bandwidth:スペクトラム画面で表示される倍音成分の山の横幅(太さ)を変更できます。
ただし、小さくし過ぎると音がおかしくなるので、10以上が実用的かな?と思います。

- ps_explain_02.png (9.21 KiB) 表示数: 9426 回
- Growth:このパラメーターを上げると、周波数の高い倍音ほど、山の横幅(太さ)が広がるようになります。だから高音側のスライダー(20~30倍音あたり)を幾つか上げておくと、違いが良く分かります。
つまり、Growth = 0 なら、全ての倍音が Bandwidth で決めた幅になります。カッチリ・ハッキリとした音ですね。
デフォルト値の1.00くらいが一番無難で、1.50くらいなら高音がシュワ~と鳴るようなパッド音が出来ます。
2.00以上ではちょっとやり過ぎで、ホワイトノイズ的な音になります。

- ps_explain_03.png (8.92 KiB) 表示数: 9426 回
■ Placement パラメーター ■これは倍音の並ぶ間隔を変更するパラメーターです。

- ps_ss_placement.png (2.12 KiB) 表示数: 9424 回
- Harmonic:これを選んでいる場合は、スライダー欄での設定(倍音の間隔)がそのまま反映されます。
ですから特にここで設定する事はありません。
- Multiplied:スライダーの並び方はそのままで、全体の間隔を広げる(又は狭める)ことができます。
-- Threshold:例えばここを10にすれば、10倍音よりも高い倍音(10より右側にある倍音)の間隔にだけ影響を与えます。1にしておけば全体に影響を与える事になるので、普通は1で良いでしょう。
-- Amount:プラス側の数値なら間隔が広がり、マイナス側なら狭まります。
-- Harmonize:倍音の間隔を変更した場合、本来倍音が綺麗に鳴る周波数とは違う位置に倍音が移動する事になります。つまり音が不協和音的に濁った感じになります。このHarmonizeを 100% にしておけば、間隔を変更後も音が濁らないように、倍音の位置を自動調整してくれます。

- ps_explain_04.png (11.23 KiB) 表示数: 9426 回
- Powered:Multiplied とほぼ同じ効果ですが、高周波数側にある倍音の間隔により強く影響を与えます。つまり、Amount をプラス側にすれば、高音側の倍音間隔がより強く広がり、Amount をマイナス側にすれば、高音側の倍音間隔がより小さく狭まります。

- ps_explain_05.png (13.85 KiB) 表示数: 9426 回
- Waved:これは、倍音の間隔を波打つように(狭めたり広げたりを繰り返すような感じで)変更します。Period というノブは、その繰り返す間隔を設定します。画像を見てもらった方が分かり易いかな?
この Waved を使うと不協和音的な音が多くなるんですが、逆にそれがベル音等を作りたい時に効果的です。

- ps_explain_06.png (14.43 KiB) 表示数: 9426 回
■ で、結局どういう使い方がお薦めなの? ■僕もまだ使いこなせてないんですが……(;^ω^)、
- 基音に近い方に、少し多めに倍音を置いた方がいいかも。
- 困った時は、上でもやってる様に、とりあえず等間隔で倍音を並べてみたらいいかも。
- 全くランダムに倍音を配置しても、それはそれでいいかも。
- Bandwidth は 10~100 くらい、Growth は 1.00~1.80 くらいがいいかも。
- ベル音が欲しい時は、沢山倍音を並べて Waved を使うといいかも。
- スライダーの並びはそのままで、パラメーター設定の違う2つの波形を生成して、重ねて鳴らすといいかも。
ってぐらいかなぁ。まぁ後はご自分で実際に弄ってみてください。
とにかく、完全にループするPAD音が手に入るというのが魅力です。

ここのフォーラムで[url=http://forum.renoise.com/index.php/topic/41563-new-tool-30-selection-shaper/]「Selection Shaper」[/url]という波形を生成・変形する事が出来るツールを作って頂いて以来、Renoise 3.0 による音作りを楽しむようになりました。「Selection Shaper」の場合は、ごく短い波形(サイン波、ノコギリ波、矩形波、三角波)を元にして、それを変形させていく事で音を作るという面白さがありました。
そして、以前からもう1つ気になっていた波形を生成するツールがあります。それが「PadSynth」なんですが、今までそのインターフェイスの意味不明さを克服できずにいました。とにかく、パッと見てわけわからんかったんです…(;^ω^)。しかし、音作りを考える良い機会なので、細かく試してみる事にしました。
[attachment=2]ps_ss.png[/attachment]
[color=#0000FF][size=120]■ 導入 ■[/size][/color]
まずPadSynthは、(今の所)Renoise 3.0に正式対応していません。ただ、ソースコード内を覗いて、Apiのバージョン番号を3から4に変えるだけで一応動くようになります。幾つかの機能は使用不能となりますが、波形を生成する事については問題ありません。まぁ、もしフル機能を使いたい方はRenoise 2.8で使ってください。
:!: 追記 :!:
英語フォーラムの方で3.0に対応させてくれた方がいました。完全ではありませんが、ユニゾン機能も使えるみたいです。
幾つかの不便も無くなっているので、とりあえずは[color=#FF0000][size=150]このバージョンをお薦めします[/size][/color]。
リンク先の最後尾にあるファイルです。
http://forum.renoise.com/index.php/topic/34672-new-tool-28-padsynth/page-4
また、PadSynthの正式なダウンロード・ページはこちらです。
http://www.renoise.com/tools/padsynth
起動方法は、インストゥルメント・セレクター画面で右クリック・メニューを開き、「~PadSynth Instrument...」をクリックします。
#########################################################
[size=150]使い方(重要な部分だけ説明します)[/size]
#########################################################
[color=#0000FF][size=120]■ スライダー群(倍音列) ■[/size][/color]
まぁ見た目で一番気になってたのがここですね。最初はここにマウスで波形を描くのかぁ?とか思ってました。
これは実は倍音成分を表してまして、左端の1が基音、2以上が倍音です。
例えば、左端の1~4のスライダーを全て上げた状態で、一旦波形を生成します。
そして、A-4の鍵盤を押さえると、
1=440Hz
2=880Hz
3=1320Hz
4=1760Hz
という4つの倍音成分を持った音が鳴ります(当然、4つの音が混じり合って一つの音に聞こえます)。
Renoiseのスペクトラム画面ではこんな感じになります。この図を見れば、少しは合点がいってもらえるんじゃないでしょうか?
(デフォルトでは低音側を広く表示するスケーリングになっているので、スペクトル画面上で右クリック・メニューを開き、Frequency Scaling を "Logarithmic" から "Linear" に変更してください。)
[attachment=8]ps_explain_01.png[/attachment]
[list]ちなみに、サイン波というのは全く倍音の無い音ですので、1のスライダーだけを上げればサイン波の波形が生成されます。[/list]
[list]ノコギリ波は右肩下がりな感じで全てのスライダーを上げれば、それっぽい音になります。[/list]
[list]同じく右肩下がりな感じで1,3,5,7...と奇数の倍音だけ上げて行くと、矩形波や三角波っぽい音が生成されます。[/list]
それら基本波形のスライダーの状態を簡単に再現してくれるのが、スライダーの下に並んでいる [Saw],[Square],[Triangle]等のボタンです。
で、このスライダー列は4ページ分ありまして(◎_◎;)、1~256倍音まで再現できるようになっています。ですが実際は、1ページ目の40~50倍音くらいまでで(しかも数本のスライダーを動かすだけで)十分な音になりますので安心してください。
[color=#0000FF][size=120]■ Spread パラメーター ■[/size][/color]
多分、ここがこのツールの肝になる部分だと思います。たった2つのノブですが、結構音が変化します。
[attachment=1]ps_ss_spread.png[/attachment]
[color=#FF4000][b]- Bandwidth:[/b][/color]
スペクトラム画面で表示される倍音成分の山の横幅(太さ)を変更できます。
ただし、小さくし過ぎると音がおかしくなるので、10以上が実用的かな?と思います。
[attachment=7]ps_explain_02.png[/attachment]
[color=#FF4000][b]- Growth:[/b][/color]
このパラメーターを上げると、周波数の高い倍音ほど、山の横幅(太さ)が広がるようになります。だから高音側のスライダー(20~30倍音あたり)を幾つか上げておくと、違いが良く分かります。
つまり、Growth = 0 なら、全ての倍音が Bandwidth で決めた幅になります。カッチリ・ハッキリとした音ですね。
デフォルト値の1.00くらいが一番無難で、1.50くらいなら高音がシュワ~と鳴るようなパッド音が出来ます。
2.00以上ではちょっとやり過ぎで、ホワイトノイズ的な音になります。
[attachment=6]ps_explain_03.png[/attachment]
[color=#0000FF][size=120]■ Placement パラメーター ■[/size][/color]
これは倍音の並ぶ間隔を変更するパラメーターです。
[attachment=0]ps_ss_placement.png[/attachment]
[color=#FF4000][b]- Harmonic:[/b][/color]
これを選んでいる場合は、スライダー欄での設定(倍音の間隔)がそのまま反映されます。
ですから特にここで設定する事はありません。
[color=#FF4000][b]- Multiplied:[/b][/color]
スライダーの並び方はそのままで、全体の間隔を広げる(又は狭める)ことができます。
[list][b]-- Threshold[/b]:例えばここを10にすれば、10倍音よりも高い倍音(10より右側にある倍音)の間隔にだけ影響を与えます。1にしておけば全体に影響を与える事になるので、普通は1で良いでしょう。[/list]
[list][b]-- Amount[/b]:プラス側の数値なら間隔が広がり、マイナス側なら狭まります。[/list]
[list][b]-- Harmonize[/b]:倍音の間隔を変更した場合、本来倍音が綺麗に鳴る周波数とは違う位置に倍音が移動する事になります。つまり音が不協和音的に濁った感じになります。このHarmonizeを 100% にしておけば、間隔を変更後も音が濁らないように、倍音の位置を自動調整してくれます。[/list]
[attachment=5]ps_explain_04.png[/attachment]
[color=#FF4000][b]- Powered:[/b][/color]
Multiplied とほぼ同じ効果ですが、高周波数側にある倍音の間隔により強く影響を与えます。つまり、Amount をプラス側にすれば、高音側の倍音間隔がより強く広がり、Amount をマイナス側にすれば、高音側の倍音間隔がより小さく狭まります。
[attachment=4]ps_explain_05.png[/attachment]
[color=#FF4000][b]- Waved:[/b][/color]
これは、倍音の間隔を波打つように(狭めたり広げたりを繰り返すような感じで)変更します。Period というノブは、その繰り返す間隔を設定します。画像を見てもらった方が分かり易いかな?
この Waved を使うと不協和音的な音が多くなるんですが、逆にそれがベル音等を作りたい時に効果的です。
[attachment=3]ps_explain_06.png[/attachment]
[color=#0000FF][size=120]■ で、結局どういう使い方がお薦めなの? ■[/size][/color]
僕もまだ使いこなせてないんですが……(;^ω^)、
[list]- 基音に近い方に、少し多めに倍音を置いた方がいいかも。[/list]
[list]- 困った時は、上でもやってる様に、とりあえず等間隔で倍音を並べてみたらいいかも。[/list]
[list]- 全くランダムに倍音を配置しても、それはそれでいいかも。[/list]
[list]- Bandwidth は 10~100 くらい、Growth は 1.00~1.80 くらいがいいかも。[/list]
[list]- ベル音が欲しい時は、沢山倍音を並べて Waved を使うといいかも。[/list]
[list]- スライダーの並びはそのままで、パラメーター設定の違う2つの波形を生成して、重ねて鳴らすといいかも。[/list]
[list]- [url=http://forum.renoise.com/index.php/topic/41563-new-tool-30-selection-shaper/]Selection Shaper ツール[/url]で作ったシンプルな波形と重ねたりしてもいいかも。[/list]
ってぐらいかなぁ。まぁ後はご自分で実際に弄ってみてください。
とにかく、完全にループするPAD音が手に入るというのが魅力です。 :wink: