>satoboxさん
リプライと書籍の感想をありがとうございます。
satobox さんが書きました:僕も日本語マニュアルを作って自分なりに苦労したので、あえて正直な感想を言わせて頂けるなら、DTM初心者が音楽を作り始める内容というよりは Renoise の各画面の解説という印象が強いので(まさにそれがマニュアルなんですが…)、どうしてもトラッカーを文章で解説する難しさを少し感じてしまいました。音楽の本なのに、音楽の意外性や楽しさがあまり載ってないというか、Renoise の難しい面が目立ってしまうというか。。
はい、おっしゃる通りです。音楽の楽しさを伝えるというのは目指すところではあったのですが、こういったソフトの使い方ありきなケースは、前置きとなるソフトの機能の説明を省くことができないのでなかなか難しいものですね。
この書籍をどういう形にするかについて紆余曲折を経ていて、構成というか本のテイストをガラッと変えたりしました。実は最初は博士と少年が掛け合いをしながら音楽を作っていくストーリーを書いていたのですが、内容の密度の割にページ数が多くなってしまうのと出版社のテイストの関係でボツになりました。
最終的には、私の大学での担当授業でDTM・音楽未経験の学生のための副読本という想定で、2017年の5〜8月号の雑誌I/O(工学社)に連載したMilkyTrackerのチュートリアル+以前に執筆したBNN社のPureData本の方式で、チュートリアルとマニュアルの中間的な形になりました。今回の書籍がMilkyTrackerではなくRenoiseになったのは、GUIがおしゃれ、プラグインなど多機能、音が良いの点からです。
かねてよりDTM初心者の学生からは、専門用語がよくわからない、マニュアルがあっても膨大な情報のどこを見ていいかわからない、という声を聞いていたので、最短距離でRenoiseを扱えるようにするために、DTM系音楽用語の説明をしつつ最低限の機能の解説だけに留めようという意図で書きました。ただ、一般のグラフィカルなDTMシーケンサーやDAWとは違って、Renoiseはシーケンスの文字列表現、16進数での値設定など、独特のフォーマットや概念がハードルなので機能説明が避けて通れませんでした。それを越えると快適なトラッカーを使った音楽制作の世界に入れるのですが、ご指摘の通り音楽の楽しさよりもRenoiseの難しい印象を与えてしまっているのかもしれないという点も後から反省しきりです。
繰り返しになりますが、Renoise.comやsatoboxさんのRenoiseGateの日本語マニュアルは膨大な情報量で詳細を極めているので、私の書籍が呼び水となってより深く知りたくなった読者の方がそちらにアクセスしてもらえれば良いと考えています。
satobox さんが書きました:僕が Renoise と出会った頃を思い出してみても、まず上手い人が作った曲ファイルを再生して衝撃を受けて(まさに”音の再現性”が凄くて)、どうやったらこんな風に作れるんだろう?と当時の英語マニュアルを細かく見ていった、だけど曲作りのノウハウについてはあんまり書いてなかったんです。何か初心者が知りたいのって、そういう部分じゃないかなぁ?と思いました。
そういう意味では、松村さんの本の付録に入っているたった10ページ程のPDF、あっちの切り口の方が凄く分かり易かったです。1冊丸々あの感じの内容でも良かったかなぁ~と、僭越ながら個人的には思いました。
ありがとうございます!あの付録は第10章だったのですが、規定の160ページという上限を越えてしまったため止むなくWeb付録という形になりました。第6章のエフェクトコマンドリストを削って第10章を書籍の方に入れようかとも検討したのですが、エフェクトコマンドはトラッカーの肝なので削れず、悩んだ末の措置でした。Renoiseというかトラッカーというツールの特性を使った制作方法で、私自身も音楽制作という観点であの付録の部分に力を入れていたので、その意図を汲み取って頂いて嬉しいです。
そうですね、私は90年代半ばにMODに出会って同じ衝撃を受けました。サンプラーもまだ高価で、ちょうど個人的にAKAIのS3000XLを18万円くらいで買った直後にMODに出会って全然こっちの方がすごい!と興奮したのを覚えています。そこからはmod、xm、itのファイルを漁りまくって中で使われているテクニックを見て「ここまでやるか!」と感動したりしてました。そこで知ったテクニックを当時の仕事だったゲーム音楽の制作に応用していました。当時の基板を使ったゲーム音楽はトラッカーと考え方が似ている部分もありました。
そういう初期衝動的な面白さを伝えるトラッカーに特化した音楽制作の技集みたいなのはたしかに面白そうですよね。分量と需要はどれくらい?という問題はありそうですが。
satobox さんが書きました:あまり関係ありませんが、今は自作の木工オモチャ楽器を作ったりしているので、パソコンやDTM自体遠ざかっています。
そうだったんですね。木工楽器というのは、すごく興味があります。どこかで作品の写真や音などを確認することはできますでしょうか。