このページの内容は Renoise.com の ■ Groovy bassline in less than 5 minutes ■ を日本語に訳したものです。
このチュートリアルは■ 10分以内にファットビートを作る方法・その1 ■に続く第2章です。前回説明し切れなかったムービーの後半部分(主にグルービーなベースラインを作る方法)を解説しています。大体、ムービーの3分50秒あたりから見てください。
ここまでは、1ヒットの短いサンプルを組み合わせてビートを作ってきました。そこにブレイクビートのループ・サンプルを重ねて、ビートに厚みをもたせます。Renoiseにあらかじめインストールされているライブラリ (C:/Renoise/Instruments/) から、"breakApache.xrni" をロードしてください。 これはムービーで使われているものとは違いますが十分代役になります。新しい BreakBeat トラックに C-5 を入力します。このままパターンを再生すると、ブレイクビート・サンプルがとても高いピッチで繰り返し再生されると思います。
ですから Sample Properties を調整して、このインストゥルメントが他のパートのリズムと同期するようにします。Sample Properties パネルの Loop 欄を見ると、あらかじめ "Forward" が設定されています。この設定によって、サンプルが何度も繰り返し再生されるんです。ブレイクビート・サンプルは2小節(ここでは32ライン)でループさせたいので、Sync 欄の初期値 "32" はそのままでOKです。後はチェックを入れて Sync を有効にするだけです。少しブレイクビートが目立ち過ぎるので、Amplify の値を -4dB ほど下げておきましょう。
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ムービー内ではその後、snare トラックや bassdrum トラックがブレイクビートにフィットするように調整しています。(ライン00, 10, 16, 22, 26 のバスドラムを変更して、それをパターンの後半にもコピーしています)
さて、ビートは一通り出来たのでベースラインへ移りましょう。ここからはサンプルを使う代わりにソフトウェア・シンセサイザー、正確に言うなら VSTi(Virtual Studio Technology instrument)を使います。ムービーの中ではシェアウェアの reFX Beast を使っていますが、もっとシンプルな VSTi でも十分使えるとわかってもらうために、ここではフリーウェアの Chip32 を使ってみましょう。
VSTi を使えるようにするには、Renoise がそれを認識する必要があります。VST を管理するフォルダ(あなたが管理しやすい場所に作ってください)に VSTi ファイルを入れた後(VSTi フォルダごと入れてもOK)、Renoise の Preferences パネルで VST ディレクトリを設定してください。Preferences パネルは Edit メニューから開きます(ショートカットは Ctrl + . )。
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VST のインストールと使い方の詳しい説明は Renoise Tutorial セクションの Using VST ページを読んでください。もし Linux版 Renoise で Chip32 が認識出来ない場合は Setting up Linux を参照してください。
(日本語のチュートリアルもありますので参考にしてください)
まず Chip32 をロードする為に、新しいインストゥルメント・スロットを選択します。そして VST Instrument Properties パネルを開いて、Instrument 欄をクリックすると VSTi のリストが表示されるので、Chip32 を選択します。
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ベースラインの作成にあたって、"Bassline" という新しいトラックに下図のようなフレーズを繰り返し入力します。
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Bassline トラックは、ノートコラムをもう一つ追加してします。2列のコラムを使う事で、一つのトラック内で2つの音を同時に鳴らす事が出来ます。もしポルタメント(グライド)機能を持った VSTi を使っているなら、コラム1で音を鳴らしつつ、コラム2で別の音をトリガーする事で「ビュイーン」というポルタメントを掛ける事が出来るでしょう。ただ、Chip32にはポルタメント機能が無いので、普通に2音が重なって鳴ってしまいます。ですが、これにも使い道があって、コラム2で音を重ねる事でフレーズにアクセントを加える事が出来ます。
あとはノート・オフ(OFF)についてです。パターンに音を入力しただけなら、それは鍵盤を押したまま音が鳴り続けている状態です。ノート・オフを入力する事で鍵盤を放した状態に戻す事が出来ます。プレイカーソルがノート・オフを通過すると、音が直ちに止まったり、ゆっくりとフェードアウトしたりします。その音の消え具合は VSTi 側のリリース設定で調整します。Chip32 の SquareWave というプリセットでは、シンプルに音が消えます。適切なノート・オフを CAPS-LOCK を使って入力して、ベースラインにスタッカート効果を加えましょう。
Chip32は音に厚みが欠けているので、それを補う必要があります。ムービーの第一章では EQ デバイスを使いましたが、今回は Chorus デバイスを加えます。TrackDSPs タブを開いて、DSP デバイス・リストの "Chorus" をダブルクリックします。Chorus パネル上部にプリセット欄があるので、それを変更しつつ、ベースラインの音を調整しましょう。
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VSTi のほとんどは、スライダーやノブのようなコントローラーを備えています。インストゥルメント・セレクターの Chip32 スロットをダブルクリックするか、VSTi Properties パネルの "Ext. Editor" をクリックして、Chip32 のグラフィック・インターフェイスを開きます。
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一番右側のスライダーでローパス・フィルターを操作出来ます。フィルターをどんどん効かせると、サウンドはモコモコした感じに変化します。曲を再生しながらスライダーを動かしてみてください。そのスライダーの動きは記録する事も出来ますので、後で同じ動きを再現する事が可能です。これをオートメーションと呼びます。
VSTi スライダーをオートメーションさせるには特殊なデバイスである *Automation Device が必要です。それを Bassline トラックの DSP Chain(エフェクト・ラック)に加えてください。
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ここでは1つしか VSTi を使っていませんので、Linked Plugin 欄には自動的に Chip32 が選択されています。左側のドロップダウン・リストは VSTi の各コントローラー(各パラメーター)を表示します。最初のドロップダウン・リストから "FILTER" を選択してください。そしてその右隣のスライダーを動かせば、Chip32 のインターフェイス上のスライダーも動くはずです。
さらにその *Automation Device もコントロールしましょう。*LFO device を追加し、Dest. 欄の左側(LFO制御したいデバイスを設定)で *Automation Device を選択し、右側(LFO制御したいスライダーを設定)で FILTER を選択します。さらに、Amplitude スライダーを最大まで上げて、Frequency スライダーを 32 Lines Per Cycle(1周期で32ライン進む)に変更します。Chip32 のフィルター・スライダーは、もうあなたの助けが無くても動いているはずです。
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解説ムービーは何となく唐突に終わるかもしれませんが、すでに私たちは新しい曲作りのスタートラインに立っています。たった10分の間にファットなビートを組み上げ、VSTi のベースラインにコーラスで厚みを加え、さらにLFOで制御されたフィルターまで掛ける事が出来たんですから!
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