めざせ tracker!
(初めて tracker に触れる方へ)

この欄は tracker を初めて使う方や Tracking 初心者のためのページです。ここでは tracker やハードウェア機材を使った基本的な作曲法、 tracker が実際にはどうゆう物なのか、どこで tracker は生み出されたのか、 tracker スタイルでの作曲法がどうしてあまり主流ではないのか、等について学んでください。 既に tracker に親しんでいるユーザーはこの項目は飛ばしてしまっても結構です。 けれど、そういう人でも 自分の知識が十分かどうか確かめたいかもしれませんね。

"tracker"って何?

tracker は曲を作るためにデザインされたプログラムです。tracker とゆう呼び方は 'pattern editor' から来ていると言っていいでしょう。pattern editor は数字と音名が row (横の列) と コラム (縦の行) に区分されて成り立っていて、 普通の音楽の譜面とはまるで違います。これによって音楽理論を大して知らない人でも曲作りがしやすくなりました。 音名とオクターブの基本的な知識、それに "良い耳" を持っていれば十分です。 一般的に、tracker の コラム とはトラックのことを表し、row はパターンラインのことを表します。 (別々のトラックの音でも同じ row に打ち込んだものなら同時に鳴ります)。

Tracker は、サンプルをロードして蓄えておいたり、いくつかの方法でサンプルを編集したり、 パターンエディタで音に音楽的な色づけをしたり、様々な機能が一体化されているとゆう特徴があります。 完成した曲は module と呼ばれるファイル形式でセーブされます。その module ('mod'とも言います) には、 あなたが作り出して使っていたサンプルやパターンが含まれています。あなたが作ったアレンジ情報も含まれています。 いいかえれば、完成した曲には必要な材料がすべてパッケージされていて、それだけでロードや再生が可能です。 MIDI の曲のようにサンプルのセットや他の機材を付け足さないと再生できない、とゆうことはないんです。 もちろん、それによって module はほんの少し MIDI ファイルよりもサイズが大きくなってしまいます。 なお、MP3 や CD, WAV ファイル等の最終的な形式と違って、完成した module からもう一度音色を抜き出したり、 他の音色やサンプルに置き換えたりすることも可能です。Module は大抵の場合、MP3 よりもファイルサイズが小さく収まり、 とても良い音で鳴ります。(あなたがもしひどい作曲家なら当然悪い音が鳴ります。 また例外として、私の module は MP3 よりも平均的にサイズが大きいです。;-)

短く言うと、たくさんの数字や "---" のラインで形作ったコラムのパターンで音楽を表現したものを、一般的に tracker と読んでいます。 ドット、ライン、数字、それが tracker です!


Amiga tracker (Protracker) with a cool mod (Jeez was it that ugly? - check the mouse arrow!)
これは 1:1 の実物大の画面表示です!

tracker の歴史を教えて!

たくさんの tracker が存在します。1987 年、Amiga とゆうコンピューターの奇跡によって最初の tracker が現れました。 その生みの親は、今日では伝説的な人物でありすべての tracker の父である Karsten Obarski 氏です。 彼のプログラムは Soundtracker I と呼ばれました。それは商業的な製品で、すぐに人気が出て、その類似品も出るほどでした。 それには ST-01 と ST-02 と呼ばれたサンプルディスクが付属していました。いろんなシンセサイザーやサンプル CD から録った 8-bit のひどいサンプル集でした。でも確かに当時はそれらが凄い物だと思われていました。 その当時、もっと良い物なんて無かったんですから。実際はそれらのサンプルはとても酷くて、 たくさんの作曲家がそれらを使っていたので、すべての曲が同じような音になってしまっていました。それらは当時、 どちらの ST disk を使った曲なのか、聴けば簡単にわかりました。 "You make me feel so gooooood!!!"... "This is a journey into a sound".... yeah...そんな感じです。 Soundtracker はさらに、ボリュームとピッチをスライドさせるとゆう "パワフルな" エフェクトを持っていました。んん、大した事ないって? そうですね。でも 1987 年当時には奇跡であり夢が実現した感じだったんです。何てことでしょう!でもそれが歴史なんです!

しかしながら、tracker の歴史は Amiga の時代から 8-bit のマシンが世界的に広まる時代へ進んでいきます。 そこで伝説的なマシン、その名を C64 (Commodore 64) といいます、と共に tracker を見本としたようなソフトが現れました。 Rock Monitor, Synth64, Future Composer, これらのソフトは何らかの数字による譜面表記を採用していました。 しかし、今日私たちが知っている tracker の元々のコンセプト、特に module のコンセプトは Amiga から始まっているんです。だから皆さんには、「module と tracker の歴史は PC 上から始まった」と 若者たちが言っている事に惑わされないで欲しいんです。それは事実ではないですし、 もっと良く tracker の歴史を学んで欲しいんです。 :-)


Rock Monitor 3 on C64 - 近代的な tracker は難しすぎませんか?
一度これを試してみてください... ほとんど石器時代のようなレトロさがありますよ!


その後 Noisetracker (注・以前、このTrackerがRenoiseの原型と書いていましたが大きな間違いでした。Renoiseの基となったプログラムはArguru氏が製作したNoiseTrekkerです。時代が全然違います・汗) や Protracker が生まれます。 そして似たようなソフトが次から次へと出てきます。それらはエフェクトの数を増やし、いくつか新たな特徴も持っていましたが、 基本的には初代の Soundtracker のように 4 チャンネルの tracker でした。ほとんどが Amiga の親類みたいなものでした。 当時は Song と Module が「〜〜〜.mod」の代わりに「mod.〜〜〜」と呼ばれていたんですよ(注・・・Amiga の時代、拡張子が前に表示される時期があったそうです)。 PC が 8+3 DOS とゆう名前で悪戦苦闘している間に、Amiga はそれを可能にしました。 今日の 4 チャンネルのスタンダードな曲と比べると劣るけれども、 当時の人々が、そのような信じられないほどの音楽的な傑作を、8 ビットの音と 4 チャンネルとゆう性能の中で何とか作り上げていた、 とゆう事実は認めざるを得ません。

そして PC 上で別の tracker 革命が起こります。またも PC 上で数々の素晴らしい tracker が生み出されます。 たくさんの人々がいまだにその中のいくつかのソフトに夢中になり、それが歴史上一番良い tracker だと主張しています。 FastTracker 2 が一番良いと言う人もいれば Impulse Tracker (もしくはあなたの一番好きな tracker) が一番だと言う人もいます。でもここでは、その議論は置いておきましょう ( FT2 が良いんじゃないかとは思いますが :-)。 とにかくそれは "Zx Spectrum か C64, Amiga か Atari ST のどっちが良い?" とゆうような議論と同じです。 (C64 と Amiga でしょう。ハハハ ;-) 。これらの DOS tracker は本当に良かったです。 サンプルを再生したりボリュームやシンプルなエフェクトが扱えるだけではなく、もっとそれ以上の性能を持っていました。 ボリュームやパンのエンベロープが使えます。16 ビットのサンプルが取り込めて、少ない予算で本物のハードウェア・サンプラーと 変わらない作業が出来ました。32 または 64 チャンネルに対応し、さらに複雑な曲が作れるようになりました。 それらの内のいくつかの tracker は曲作りのスタンダード・ソフトとなりました。 これらは DOS 上で動作するもので、1996 年以降に生まれた Windows XP や Windows Me 等では正しく動作しませんでした。 そして tracker は Windows 用に移行していきます。1996 年とゆう時代のままの、FastTracker 2 を使い続ける人達には嫌われていましたが・・・。 もちろん他のプラットフォーム用に作られた tracker もありますが、大抵は Windows 用でした。

そして今日、恐らく第三の革命が起こっています。Tracker は今、多量の Digital Signal Processing を行い、トラックにリアルタイム・エフェクトを掛けられます。そして内蔵のシンセサイザーによって、 本物のシンセのような音が出せるようになりました。けれど、一番良いソフトだけを見てほしいんです。 良くないソフトもたくさん出ています。Renoise は他の tracker に見られるような特徴をすべて持っていて、そこにプロフェッショナルな操作感を付け加えています。

tracker ってどうしてあまり使われていないの?

んん〜、他のいわゆる "プロ" と呼ばれる作曲家に言わせると、tracker は主流ではないんだそうです。 ですが、現在の PC のプロセッシング・パワーをもってすれば、プロフェッショナルな MIDI 機材を使う必要性はどんどん無くなってきています。(個人的には、私は MIDI キーボード以外は一切使いません)。 DJ やプロデューサーがそのような MIDI ソフトを曲作りのための唯の道具として使っているのを何度も見ましたし、 そんな彼らの多くは雑誌等との契約を結んでいました。それは FastTracker 2 を使ってでも可能な事でしたし、 現在の tracker ならもっと凄いことも可能です。しかしながら Reason, Rebirth, Cakewalk, Cubase (これらは tracker ではありません) や、 その類のソフトの方がプロのプロデューサーには人気があります。彼らは皆、いわゆる "Cubase" スタイルのソフトを使い、 機材を揃えようと努力しています。たくさんの "プロ" と呼ばれる人々はこのインターフェイスに慣れ親しんでいますし、 tracker の音のクオリティーがどれほど高いかを言ってみたところで、彼らは決して tracker を好きにはならないでしょう。 また一方で、現在においてもまだ FastTracker 2 が最高の芸術的プログラムだと言う人もいて、 そういう人はもっと良いソフトが手に入るんだとゆう事を全く信じようとしません。Tracking には、もっと良い作曲方法がたくさんあるはずなのに。 あなたが tracker を使っているからといって、プロにはなれない、とゆうことは全くありません。 Renoise のデモソングを聴いて、商業的な曲と比べてみてください。(音楽スタイルの好みは関係なく、その音のクオリティを比べてください)。 他のいわゆる "横棒が並んだ" (Cubase みたいな) インターフェイスのものの代わりに、Renoise のようなシンプルなグラフィック・インターフェイスを持ったものの方が、 より早く tracker の使い方を学べるでしょう。しかし、あなたが本当に曲を仕上げて、ある程度の音のクオリティーのものを作り出せるようになるには、 しばらくの時間が必要です。 (それは tracker の音のクオリティーのせいではなく、単にあなたがまだ未熟だからです)。 だから決して諦めないで!

ところで余談ですが、Cubase スタイルのソフトは、たとえ SB-Live 等の良い音のするサウンドカードがあったとしても、 MIDI のハードウェア機材を使うように作られています。 tracker を使っていると、そんな (高価な) 機材のためにお金を貯める必要はないだろうと、 当然のように思います。時代は常に変わっていきます。そしてどんどんその事実は明白になってきています。 「もはや MIDI シンセは必要じゃない!良いソフトが一つあればいいんだ」とゆうことです。

今日では、たくさんの tracker が存在します。 それらの多くは開発中で、まだ未完成の機能しか持っていません。 そのことによって「tracker はプロフェッショナルではない」とゆう悪い評判を受けかねません。 しかし、tracker が正しくプログラムされ正しいと証明されていれば、"プロ用" と呼ばれているような音楽ソフトに 匹敵する (もしくは打ち負かす) ことになるでしょう。 そのプログラム自体は、実際には特定の音楽スタイルに限られているわけではありません。 特定の音楽スタイルにちなんで名前を付けられたソフトもいくつか知っていますが、それはただ商業的な理由からです。 Techno, Trance, House, Hip-Hop, Drum'n'Bass, R'n'B, Club, Dance, Goa, Psychedelic, 等の現代的なスタイルや、 Acid Jazz, New Age, のようにミックスしたもの、または Reggae, Rock, Blues, Metal, Hardcore, さらにクラシック・オーケストラのような伝統的な音楽スタイルのものまで・・・もちろんあなたがジャンルを名付けても OK ですよ! これらは一例にしか過ぎません (お気に入りのスタイルをここに加えてください)。思い浮かんだものなら、何でも作れますよ!

Renoise は、シンセやサンプラーを使って今の時代のたくさんの音楽スタイルの曲を作るのに適しているだけじゃなく、 Rock 等でドラムマシンとして使ったり、ループサンプルのプレーヤーとして使ったりする事も得意としています。 この場合、短いフレーズをサンプルとして取り込む必要があります。(ギターのフレーズは、本物のギターを使うよりも tracker で打ち込む事の方が難しいですし、また実際のギターの方が良い音がします)。このような短いフレーズのサンプルを "ループ" と呼びます。 しかし、ストリングスやシンセ等のリードは tracker に打ち込むかキーボードを使ったほうが簡単でしょう。 このプログラムは本当に大きなサイズのサンプルにも対応していますし、それらをループとして編集したりエフェクトを掛けることも出来ます。 また、 Properties ウインドウの Instrument Settings のところにある Beat Sync とゆう機能を使って サンプル CD からループを取り込んで曲を作れます。 外部のデバイスから MIDI を通してサンプルをコントロールする事も簡単に出来ます。

このソフトでプロのクオリティーの曲が作れますか? 何かプロ用の機材は必要ですか? Renoise で作った音楽を発表してもいいですか? また、その時には何かしらの使用料を払わなければならないのですか? "Cubase" みたいなソフトは必要ですか?

ええ、Renoise を使えば商業的なプロのクオリティーの曲だって作れますよ。他の機材なんて必要ありません。 シンセ、サンプラー、エフェクター、ミキサー、シーケンサー・・・Renoise だけですべてが完結します。限界はありません。

もし本当にプロになりたければ、音を入力しやすくするために MIDI キーボードを買ったり、 ミキサーやエフェクター、良いサウンドカードなどの機材を揃えるのがいいでしょう。 サンプル CD なんかもあった方がいいですね。

けれども、自然にうまくなっていきますよ。走れるようになるには、まず歩けなければ。初めて作る曲に完璧さをもとめず、決して諦めずにトライしましょう。 しばらくこのソフトを使って、あなたの曲についての感想を経験者に聞いてみましょう。 "Cubase" については・・・ "tracker ってどうしてあまり使われていないの?" の欄を読んでください。

自分用に合法的に登録した Renoise を使っている限り、自分の曲などを発表するのに使用料は一切必要ありません。 もし、あなたが Renoise を使ってアルバムや曲を作ったのなら、CD や LP のカバーにその事を記載しておいてもらえるととても嬉しいです。 また私たちは、あなたのプロデューサー/DJ ネームと Renoise をプロモートするために、 その情報を使う権利を持っています。

どうすれば曲が作れますか? 始め方は? なんだか複雑そうで・・・

実際のシンセやサンプラーを見た事はありませんか?・・・それらには何十個ものボタンが付いています。裏側には大量のケーブルが繋がっています。 サンプラーは一般的に 100×50 ピクセルくらいのとても小さな情報スクリーンしかありません。 それと Renoise の 1024×768 ピクセルと比較してみてください。そしてまた、ハードウェアのサンプラーに搭載されたソフトウェアは "クラッシュ" する可能性もあります。結局それらは完璧とは言えません。:-)  私たちは作曲方法はもっとシンプルに出来ると信じています! ポイントは、たくさんの構成機材をすべて所有し、 常にあちこち切り替えてなきゃいけないような設備がスタンダードとして使われているとゆう事です。 Renoise を使えば、それらすべてが一つのソフトに含まれているのです。

tracking を始めるにあたって、この Help の はじめてみよう の所を読んでみてください。 もし全く tracker を使った事がなくても始められるようになっていますから。 そしてどんどん高度なマニュアルの方に進んでいってください。

2,3 時間さわっていれば、tracker についてのほぼすべてがわかるでしょう。そして、 パターンやエフェクトの表示の「どこを見て」「どこを無視すればいいか」を最初に知ればいいんです。 とてもシンプルです! 飛行機のパイロットにとって、コントロールパネルに山ほどボタンがある中で、 常に見ておく必要があるのはほんの 2,3 の計器類だけであるのと似ています。 パターンやサンプルといった基本的な部分を扱うことから始めてください。一番初期の tracker はそうゆう機能しか持ってませんでしたし、 それが偉大な第一歩です。そして練習曲をロードして、この Help の チュートリアル の所を読んでください。 それらを再生したり、いろんなボタンをクリックしてみましょう。噛み付いたりしませんから! しかし、"delete" や "zap" と書かれたボタンの扱いには十分注意してください。(曲のデータが失われてしまいます)。

ドットや数字だけがたくさん表示されています!

こう言われると何だかゾッとしますが、それは全然複雑ではないんですよ! 他の作曲方法には無い、 tracker が持つ強力な特長です。MIDI ソフト&ハードウェア・デバイスを使うのに必要な知識より、随分少ない知識で使えます。 あなたは全てを持っていますし、その全てのものは一つのソフトに収まっています。 並んだ "バー" の上をシンプルな線が通り過ぎていく (Cubaseのようなシーケンス・スタイル) 代わりに、 tracker は曲を再生した時、パターン全体がスクロールします。

バターンの表示方法を明らかにするために、いくつかの部分に分けて見てみましょう。パターンはトラックに分割できます。 それぞれのトラックはコラムに分かれます。最初のコラムには音程が表示されますが、それしか打ち込まないことも度々あるでしょう。 その他のコラムは、Amiga の頃の tracker から受け継がれているいろんなエフェクトのために使われます。 また Renoise は、エンベロープやトラック・エンベロープ、フィルター等、 たくさんの他のパラメーターでエフェクトをコントロールすることも出来ます。

これがパターンのトラック・ラインにどう表示されるかを表した例です:

| C-4 04 00 00 0210 |

C-4 は音程。Edit・オン状態の時にバーチャル・ピアノ・キーボード (すなわち、Q-W-E-R-T-Y-U-I-O と配列された目の前の PC キーボードの事ですよ)、 または MIDI キーボードを押す事で打ち込めます。 次の 04 はインストゥルメント (音色) 番号です。その横の 2 番目と 3 番目のコラムはそれぞれボリュームとパンを表します。 (#4の音色を) C-4とゆう音程で鳴らしつつ、ボリュームと左右の位置関係をコントロール出来ます。 最後に 0210 は、エフェクト番号 02 で、そのパラメーター値が 10 とゆう意味です。
簡単でしょ?

最後のエフェクト・コラムのパラメーターを全て記憶する必要はありません。 この Help の中に全てのエフェクト・コマンド表があります。 さらに、レコード・モードにしてある時に そのトラックのパラメーターのつまみを動かしていれば、パターンに自動的に記録されます。 だから実際には、トラック・エフェクトの番号は全く覚えなくてもいいんです。

ループ、サンプル (サンプラー)、シンセサイザー、MIDI、って?

  • MIDI
    'Musical Instrument Digital Interface' の略です。いろんな音楽機材を互いに接続させるための 一般的な基準です。それは音楽機材側で MIDI プロトコルによって音を再生させるようなシーケンサーとして コンピューターで度々使われます。 ですから、音のクオリティーは MIDI 機材のクオリティー次第です。 コンピューターはただ音を配列する (音をアレンジする) ためだけに使われているんです。 一般的に In と Out の 2 つのタイプの MIDI があります。 MIDI In はキーボードや音源などで使われ、音やフィルターをコントロールすることが出来ます。 MIDI Out は音やエフェクトのパラメーターのデータを他の MIDI 機器に送るのに使われます。 MIDI 機器とゆうのは例えば、シンセサイザーやサンプラー、エフェクター等のことです。 今日、MIDI はスタンダードとしてはあまり使われなくなっています。 例えばチャンネル数が増やされたような、MIDI の拡張形式がたくさんあります。 一方で、General MIDI (GM) は最初に 128 の MIDI 音色を定義した基準になっています。 GM 規格に対応した音楽機材はその 128 音色を持っているはずです。 たくさんのサウンドカードも GM 規格に対応しています。 これらの音色は、いろんなピアノ、ストリングス、基本的なドラムセット等です。
  • シンセサイザー
    1 つ以上の内蔵された合成装置で波形を作り、音を生み出すものです。 この波形は、普通は基本的なもの (sinus, pulse, triangle, random noise, saw 等)から始まります。 それらがミックスされ、いくつかのエフェクトを加えて初めて、 ストリングスや 303 ベースライン、ベース等の音として使えるようになるんです。 たくさんの楽器音が合成によって作れますが、 なかにはサンプル (マルチサンプル) を使ったほうが良い場合もあります。 アナログシンセとデジタルシンセの違いを少し説明すると、 アナログシンセの方が古いので音を作り出すのにアナログの回路を使っています。 デジタルシンセは音を作って合成するのにチップを使っています。 Renoise はコンピューターの CPU を使っているので、デジタルシンセに近いです。 しかし、サンプラーやエフェクターとしても使えるんです。


    Yea Baby! ローランド製のオリジナル TB-303。 グルービーなベース音を鳴らせるアナログシンセです。
    そしてそれは"コンピューターで制御されているんです"! Wow! :-)
  • サンプラーとサンプル
    これは音を作り出すもう一つの方法です。波形を合成する代わりに、 エレキギターやピアノなんかの実際の音から周期的な間隔で 'サンプル' を取り出して 音を鳴らす方法です。もしその周期が十分に細かければ実際の楽器の音とサンプルの音は 聞き分けられないでしょう。 これらはデジタルの数値で蓄えられます。サンプルは 2 つの基本的な数値 : "振幅 (amplitude)" と "サンプリング・レート" によって定義されます。振幅はサンプリングする周期の時間の単位によって変わります。 サンプリングする周期が短いほど、音質は良くなります。 同じ事が振幅の分解度 (振幅を蓄えるための数値) にも当てはまります。 サンプルは普通、8 ビットか 16 ビットです。 8 ビットは以前から使われていて、 いくつかの目的 (声や電話の音のような、蓄えておくのにあまりスペースを取らないもの) には向いていますが、音質が劣ります。 16 ビットなら人間の耳で聞くには十分ですが、全ての目的をカバーするには 24 ビットを使っておいた方がいいでしょう。 その仕組みを少し説明すると、16 ビットは人間が聞くことが出来るダイナミック・レンジ (80 dB くらいだと思います) や CD クオリティー (約90 dB) の音を カバーするには十分な分解度なんですが、 非常に小さい音量の時でも十分にカバー出来る必要があったので、24 ビットが使われるようになったのです。

    CD は 16 ビットで、いくつかのサウンドカードは 24 ビットにも対応しています。16 ビットは +/- 32767 の分解度の サンプル音量数値が使えます。サンプリング・レートとは、どのくらい素早くオーディオのサンプルを取り込んだか、とゆう値です。 CD 音質なら、ステレオ・チャンネルで、一秒につき 44100 回サンプルを取り込んだとゆう事です。これは一秒間で 16 ビットのオーディオ・サンプルを 88200 回 (もしくは 176400 バイト) 取り込んだ事になります。また、あなたのスピーカーも 広い周波数の幅を再生できる必要があります。サンプラーはこの原理を利用して、取り込んだ音にエフェクトを加え簡単に繰り返し再生できるようにする ハードウェアなのです。

    マルチ・サンプルとは、例えば (一つの音階の中で) それぞれのオクターブに一つずつサンプルを使ったり、 オクターブにつき何個かのサンプルを割り当てたり、さらに一つ一つの音に違うサンプルを割り当てたりしたものの事です。 なので、オクターブにつき一つのサンプルを割り当てたような音色を作るには、 C-3 用, C-4 用, C-5 用, 等のサンプルが必要になります。 そのような音色はより自然な響きが出せるようになりますが、スペースも多く必要になります。

    Renoise は、ハイクオリティー・ミキシングのための 32 ビット浮動点サンプルに対応し、 またマルチサンプルの音色を作るためにサンプルを区分けして扱う事も出来ます。


    時間軸上に表示されたアナログ波形のサンプル
  • ループ
    これはサンプルとして区切られた短いフレーズの事です。ドラム、ピアノ、 ストリングス、ベースライン、ギター、等の短いフレーズです。 ループを曲の中で使う時には、適切なスピード (BPM - Beats Per Minute の略。バスドラムのキックを思い浮かべて!) で鳴るように編集します。それらは繰り返し続けて鳴らしても自然な感じで鳴ります。 リピートする最後の音が、最初の部分の音とほとんど同じだからです。 様々なループを使えば、曲の一部分を完成させることが出来ます。 いろんな音楽スタイルのための市販のループ CD が出ています。 これらを使うのはとても簡単です。 ベース、ストリングス、ドラム等、好みのループを見つけるだけです。 それらを読み込ませて一緒に再生すれば、完成した曲のように聞こえますよ。 今日、とてもポピュラーな作曲方法では、ドラム・ループを曲の基礎として使います。 大抵のものはリピートさせても自然ですし、個々のサンプルとして打ち込んでもループを使っても そんなに違いが無いからです。 ドラム・ループの上に他の音を付け足してもいいですし、ドラム・ループと一緒に再生してもいいでしょう。 ドラムは恐らく最も人気のあるループのタイプです。なぜなら、曲の基礎を作り、 リードやストリングスのような他のパートが演奏しやすくなるからです。

    Renoise は、これらすべてのオーディオを作り出す方法に対応しています。 MIDI のように外部のハードウェアを必要とせず、それでいて MIDI 機器があるのと同じくらいの曲作りが可能です。
  • 一つの音のサンプルからどうやって違う音を鳴らしてるの?
    それはとてもシンプルです。音楽理論の知識が少し必要ですね。音を、 取り込んだ時と全く同じように鳴らす場合、それは元々のピッチを維持しているでしょう。 今、もしサンプルを一つ飛ばしにすれば (それゆえ速く再生されるはず) 1 オクターブ上の音が鳴ります。(注・ここで言う "サンプル" は、例えば一秒間に 44100 回取り込んだサンプルの内の "1/44100 のサンプル" を指しています)。 もし、それぞれのサンプルを 2 回ずつ繰り返して鳴らせば遅く再生され、1 オクターブ低い音になります。 ですから、もし 440 Hzの A-4 の音なら、220 Hzの A-3 になったり、880 Hzの A-5 になったりします。 ならば 2,3 オクターブよりもっと、元の音から離れてしまったらサンプルの質が落ちるんじゃないか、 と当然思うでしょうし、それが正しい事は実際聞いてみればすぐにわかります。 しかしながら Renoise は、"spline" と呼ばれる浮動点計算方法を用いています。 これはサンプルの適切な再生速度を計算し、それぞれのサンプルを正しい速度に 'リサンプル' するためのものです。この方法は CPU を集中的に使います。386 PCs のような古いマシンでは かろうじて扱える程度です。最近の 1GHz マシンなら問題ありません。 いくつかのシンセでも、サンプルを 'リサンプル' するために 浮動点計算をしているものがあります。

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Renoise manual version 1.0a | http://www.renoise.com