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パターン・エディター画面

パターン・エディターは、Renoise での曲作りのメイン画面です。各インストゥルメントのノート・データがライン上に記録され、画面の上から下へと再生されます。 1つのパターンには複数のトラックが含まれ、トラック毎に別々のインストゥルメントやエフェクターを設定する事が出来ます。 パターン・エディターで作成した複数のパターンを、パターン・シーケンサー画面で順番に並べて曲を作ります。

実際に音を入力していく方法は第一章の "音を並べる1(パターン・エディター)" を参照してください。



パターン

1つのパターンには、複数のトラック上に複数のインストゥルメントの演奏データが記録されています。 文章で書くと難しいですが、ディスク・ブラウザ画面でデモ・ソングをロードして、スペース・キー(再生)を押せば、すぐに理解出来ると思います。

プレイ・カーソル(パターン上の水平な横棒)がパターンの上から下に動き、入力されたノート・データ上をプレイ・カーソルが通過すると音が鳴ります。 プレイ・カーソルが一番下まで行くと、パターン・シーケンサー画面で並べられた次のパターンに移動します。 普通、パターンは曲中の特定の区間を再現する為にあるので、1曲の中で同じパターンが複数回並べられる事も有り得ます。 パターンの長さとテンポ(BPM)は自由に変更出来るので、作曲者の表現方法によって、パターンは実に様々な使われ方をされています。



トラック

Renoise のトラックには4つの種類が存在します。


シーケンサー・トラック(ノーマル・トラック)

最も一般的なトラックであり、そのノート・コラム上にノート・データを入力/記録します。 また、エフェクト・コラムにエフェクト・コマンドを入力する事で、サンプルやトラックDSPsをコントロール出来ます。


グループ・トラック

例えばドラム・セットのデータ入力等、同じ系統の複数のシーケンサー・トラックを1つのグループとしてまとめて扱う事が出来ます。 子トラックのアウトプットは自動的に親トラックへと流れるように設定されます(これはプリ・ミキサー画面で変更する事も可能です)。 つまり親トラックに設定したトラックDSPs、オートメーション、エフェクト・コマンドは、そこへ流入する全ての子トラックの音に影響を与えます。

トラックをグループ化するには、左Altを押しながら、マウスでトラック名部分をつかんで動かします。


センド・トラック

センド・トラックは、複数のトラックに対してまとめてトラックDSPsを掛けたい場合に使います。センド・トラックを使えば、CPU の使用も効率的になります。

例えば、5つのトラックにリバーブを掛けたい場合、5つトラックのエフェクト・ラックに別々にリバーブを挿入するより、 センド・トラックにリバーブを1つ設置して、各トラックからオーディオ信号を送ってやればいいんです。 各トラックからセンド・トラックにオーディオ信号を分岐させるには、"#Send Device"という特別なデバイスを使います。

センド・トラックにはノート・データは入力出来ません。ですから、エフェクト・コラムしかありません。


マスター・トラック

マスター・トラックは、他のトラックで作られた全てのオーディオ信号が最終的に流入する場所です。 それゆえ、マスター・トラックに設定したエフェクトは、曲全体の出力に影響を与えます。 マスター・トラックにはノート・データは入力出来ません。ですから、エフェクト・コラムしかありません。



トラックの追加、削除、複製、並べ替え

トラックの追加と削除は、メイン・メニューの "Edit -> Insert New Track" (左Control/Command + T) と "Edit -> Delete Track" (左Control/Command + 左シフト + T) です。 現在選択中のトラックがシーケンス・トラックの場合は、新規のシーケンス・トラックが右側に追加されます。 現在選択中のトラックがマスター・トラックかセンド・トラックの場合は、新規のセンド・トラックが追加されます。

トラックの順番を並べ替えるには、トラック名が表示された部分()をクリックし、そのままドラッグして移動させたい場所に動かします。 トラックの移動はパターン・エディターとミキサー画面で行えます。

トラックを複製するには、メイン・メニューの "Edit -> Duplicate Track" (左Control/Command + D) を選択します。



トラックの折り畳み

トラックを折り畳むには、トラック名の左側にある小さな三角アイコンをクリックします。 これは単に情報表示を折り畳むだけで、オーディオ出力信号自体は通常と変化ありません。 また、グループ・トラックも同様に折り畳む事が出来、そのエフェクト・コラムも折り畳めます。

「シングル・トラック編集モード」を使えば、現在選択中のトラック以外は全て折り畳まれて表示されます。 カーソルを他のトラックに移動すると、それに従って全表示されるトラックも自動的に変わります。



トラック・カラーの変更

トラック・カラーを変更するには、トラック名の上にあるカラー・スロットをクリックします。 カラー・ピッカーを使って好きな色を調合出来ます。左端のスライダーはサーチュレーション(色の濃度)です。 また、右側にある色見本から色を選択したり、調合した色を保存(色見本スロットを右クリック)する事も出来ます。 "Background Blend" スライダーを動かすと、トラックの背景表示に現在の色を反映させる事が出来ます。 "Apply to all tracks" にチェックを入れると、全てのトラックの背景表示の色の濃さを一度に設定出来ます。







コラム (Column)


コラムの構成

日本語では「カラム」とも書きますが、一応この解説書では「コラム」で統一します(元々同じ言葉です)。訳すと「縦列」という意味です。 1つのトラックはコラムがいくつか並んで構成されています。

右図は、1つのトラック内で各種コラムを1列ずつ表示させた状態です。 左から、

  • ノート・コラム・・・・・音を入力
  • ボリューム・コラム・・・・・音のボリュームを調整
  • パンニング・コラム・・・・・音の左右の定位を調整
  • ディレイ・コラム・・・・・音の微妙な発音タイミングを調整
  • エフェクト・コラム・・・・・トラックにエフェクト・コマンドを入力
です。

この内、Vol, Pan, Delayコラムはノート・コラムのグループに属します。 一つのノート・コラムは常に3つのサブ・コラムと共にあります(必要がない時は隠されている場合がありますが、隠れた状態でも音に影響を与えます)。 それに対してエフェクト・コラムはトラック全体に影響を与えます(エフェクト・コラムは閉じると効果が無くなります)。


注):エフェクト・コラムやサブ・ノート・コラム上に記録される数値は全て16進法表記です(一般的な "0~10" ではなく、"0~F")。 16進法がよくわからない場合は第1章の「16進法について」を参照してください。



各コラムの役割

入力例を見ながら説明します。

 

  • ノート・コラム・・・(上図では[C-400]と入力)
    音名とインストゥルメント番号が入力されます。 C-4が音名で、00がインストゥルメント・セレクターで振り分けられたインストゥルメント番号です。 現在選択しているインストゥルメントの番号が自動的に入力されます。
  • ボリューム・コラム・・・(上図では[60]と入力)
    音量を入力します。音量数値には00〜80(16進法)を使います(正確には7Fですが、便宜上80になっています)。 ここに何も入力しない場合は最大音量80で再生されます。
    もしVSTiやMIDIインストゥルメントを使っている場合はベロシティ値を送信します。 他に、Ix, Ox, Bx, Qx, Rx, Cx, 等のエフェクト・コマンドも入力出来ます。
  • パンニング・コラム・・・(上図では[40]と入力)
    パン(左右の定位)を設定します。00(左)〜40(中央)〜80(右)です。 何も数値を入力しない場合、パンは中央(40)で再生されます。
    他に、Jx, Kx, Bx, Qx, Rx, Cx, 等のエフェクト・コマンドも入力可能で、 さらに、MIDI-CC [M0]、ピッチベンド [M1]、プログラムチェンジ [M2]、アフタータッチ [M3]の送信にも使います。
  • ディレイ・コラム・・・(上図では[12]と入力)
    1ラインを256分割し、音の微妙なタイミング(発音の遅れ)を入力出来ます。 00〜FF(16進法)がタイミングの数値です。

    ディレイ・コラムはノート・コラム・グループ(Note, Vo, Panコラム)の発音タイミングを遅らせる働きがあります。 例えば、1ライン間の1/4経過した所で音を鳴らしたい場合、ラインの先頭から40(16進法)遅らせばいいので、"40" と入力します。
  • エフェクト・コラム・・・(上図では[0U20]と入力)
    様々なエフェクト・コマンド用のコラムです。 図では0U20と入力されていますが、これは0U(ピッチ・スライド・アップ)というエフェクトが20という割合で動作するという事です。

(ボリューム、パンニング、エフェクト・コラムのコマンドについてはコマンド表を参照してください)


Cのコードを入力しました。3つの音が並びます。

  • ノートやエフェクトのコラムはをクリックすれば増えて をクリックで減らせます(ノートは12個、エフェクトは8個まで)。 ショートカットはどちらの場合も "左Control/Command + 左シフト + 左右矢印キー" です(カーソルがある位置によって追加/削除されるコラムの種類が変わります)。

  • ノート・オフ(OFF)の入力はCapsLockキーです。
    (日本語キーボードの場合、CapsLock キーは2回押さないと入力されないという問題があります。 それを回避する為に、環境設定パネル(Preferences)のKeysタブの "Global Keyboard Options" という欄にある、"Double Caps Lock workaround" というオプションをオンにしておいてください。)

  • VolumeやPanのコラムを使わない時は、パターン・ツールバーにあるボタンで隠せます。初期設定ではパンニング、ディレイ・コラムは隠れています。


 実際、ノート・コラム(音名とインストゥルメント番号)は打ち込むでしょうが、ボリュームやパン等はトラックDSPs画面でも設定できますし、音の変化はオートメーションでも設定可能です。特に細かく変化を付けたい時だけ各コラムに数値を入力すればOKです。






ライン

各パターンには異なったパターンの長さを設定出来ます。パターンの長さを変更するには、パターン・エディター画面の左上の数値(ライン数)を変更します。 1〜512まで設定可能です。





LPB(1拍のライン数。パターンの分解能)

コントロール・パネルに "Lines/Beat" という設定があります。これは「音楽的な1拍の間に、プレイカーソルが何ライン進むか」を決める数値です。 つまり、LPB値を大きくすればするほど1拍の分解能が上がるので、よりスムーズなノート、エフェクト、オートメーションの変化を記録出来ます。 LPB値は、エフェクト・コマンドの "ZLxx"、またはマスター・トラックのLPBオートメーションによって曲中でも変更可能です。

初期設定では LPB値は4(1拍が4ライン)に設定されているので、パターン上のハイライト表示されているライン毎にノートを入力していくと、シンプルな 4/4 ビートは 16 ラインという事になります。

パターン・ライン数は初期設定では 64 になっていますが、4/4 拍子以外で曲を作る場合、拍子の分子の数字にLPB値を掛けた数を基準にパターンの長さを設定すると便利です。 例えば、3/4 拍子でLPBが4なら、パターンライン数は 12, 24, 48, 等、5/4 拍子でLPBが4なら、20, 40, 等を設定するといいでしょう。

パターン・ライン数は初期設定や、LPB値に伴ったラインのハイライト表示はソング・セッティングス画面で変更可能です。



パターン・ツールバー(パターン・コントロール・パネル)

パターン・エディター画面の下に各種ツール・ボタンがあります。

シングル・トラック編集モード
これがオンの場合、現在カーソルがあるトラックだけ正常表示され、他のトラックは折り畳み表示になります。
(オフ)

(オン)
パターン・ラップ・モード
編集モードをオンにしてパターンにデータを入力していて、カーソルがパターンの最後のラインを通過した時の挙動を設定します。 ここがオンの場合はカーソルが次のパターンの先頭に移り、オフの場合はカーソルが現在のパターンの先頭へと戻ります。
(オフ)

(オン)
パターン・オートメーション記録モード
ここがオンの場合、DSPパラメーターを右クリックしたり、外部からMIDIマッピングで操作したりすると、その動きがオートメーション画面に記録されます。 ここがオフの場合、その動きはパターン・コマンドとして記録されます。
keyjazz(コードモード)のオン/オフ
ノート・データをリアルタイム入力する場合に、コード入力を可能にするボタン。 コードを弾くと、自動的に必要なノートコラムが追加され、ポリフォニックなフレーズが入力出来ます。 ここをオフにすると、ノートコラムは1つのままになり、モノフォニックなフレーズを入力したい場合に便利です。
クオンタイズ

■ リアルタイム入力時のクオンタイズ設定:

  • ("Q"ボタンがオフの時)ディレイ・コラムを使って出来る限り正確・精密なタイミングを記録します。
  • ("Q"ボタンがオンの時)ディレイ・コラムは使わず、右側の数字(ライン数)で指定した間隔で入力音をクオンタイズしながら記録します。

■ データ入力後のクオンタイズ:

三角ボタンをクリックするとメニューが開き、[任意の選択範囲], [コラム], [トラック], [パターン]の範囲内にあるデータをクオンタイズ出来ます。

(Preserve Lengths)というのは、クオンタイズ前の元々の音の長さを出来るだけ保持するモードです。ノートオフ・データが入力される為、多少複雑な結果になります。

エディット・ステップ設定

一種のステップ入力機能で、編集モードをオンにしてノート又はエフェクト・コマンドを入力した後、カーソルが自動的に進む(ジャンプする)ライン数を設定します。 例えばハイハットを等間隔で入力したい場合等に便利です。

パソコン・キーボードの入力ベロシティ設定

パソコン鍵盤を使って演奏又はデータ入力する場合のノートのベロシティ設定。キーボード・アイコンをオフにしておけば、何も入力されません。

(左から)
  • 現在カーソルがあるトラックの、ボリューム・コラムの表示・非表示切り替え。
  • 現在カーソルがあるトラックの、パンニング・コラムの表示・非表示切り替え。
  • 現在カーソルがあるトラックの、ディレイ・コラムの表示・非表示切り替え。
エフェクト・コマンド入力補助
三角ボタンをクリックするとメニューが開き、エフェクト・コマンドの一覧表が表示されるので、入力したいコマンドを選択すると自動入力されます。




パターン・エディターでの編集とナビゲーション

パターン・エディターに何かを記録したい場合、まずは編集モードをオンにする必要があります。 "ESCキー" を押すか、コントロール・パネルのレコード・ボタン()をオンにして、パターン・エディターの周りに赤い枠を表示させます。


基本的なショートカット

矢印キーでカーソルを動かせます。"Page UP/Down キー" でカーソルを16ラインずつ動かせます。 右隣のノート・コラムにジャンプするには "Tabキー" 、左隣に戻るには "左シフト + Tabキー" です。 "F9", "F10", "F11", "F12" キーはそれぞれ、"パターンの先頭", "パターンの1/4地点", "1/2地点", "3/4地点" にジャンプします。 "Endキー" はパターンの最終ラインへジャンプします。

任意の選択範囲を指定するには、"左シフトキー" を押しながら矢印キーでカーソルを動かします。 マウスの左ボタンでパターン・エディター上をなぞっても範囲指定出来ます。 選択範囲には "左Control/Command + X(カット), C(コピー), V(ペースト)" のスタンダードなショートカットが使用可能です。

選択範囲は "左Control/Command + B"(始点) と "左Control/Command + E"(終点) で指定する事も出来ます。


エフェクト・コラムの入力モード

エフェクト・コラムに数値を入力すると、カーソルは自動的に次のライン(下)へと移動します。 この時、"左シフトキー" を押しながら数値を入力すると、カーソルは右側に動くので、数値を入力するのに便利です。


選択範囲に関するショートカット

  • F1 + [範囲指定]:半音下にトランスポーズ
  • F2 + [範囲指定]:半音上にトランスポーズ
  • F3 + [範囲指定]:カット
  • F4 + [範囲指定]:コピー
  • F5 + [範囲指定]:ペースト
  • F6 + [範囲指定]:フリップ(上下反転)
  • F11 + [範囲指定]:1オクターブ下にトランスポーズ
  • F12 + [範囲指定]:1オクターブ上にトランスポーズ

[範囲指定] は以下の通り:

  • "左Control/Command":パターン全体
  • "左シフト":現在のトラック
  • "左Control/Command + 左シフト":現在のコラム
  • "左Alt":任意の選択範囲

選択範囲のドラッグ&ドロップ

任意の選択範囲を動かしたりコピーしたりするには、マウスを使う事も出来ます。 最初にマウスの左ボタンでパターン上をなぞって(左クリックしてそのままドラッグ)範囲を指定し、再度そこをクリックしてそのままドラッグすれば移動出来ます。 移動先に選択範囲をドロップする時に "左Control/Command" を押したまま行うと、移動ではなくコピーになります。




ノート・データのレコーディング

ノート・データを手動でステップ入力する代わりに、鍵盤を弾いてリアルタイム入力する事も可能です。 編集モードをオンにした状態で再生を開始し、鍵盤を弾けばデータが入力されます。詳しくは第1章の「音を並べる1(パターン・エディター)」を見てください。




エフェクト・データのレコーディング

DSP パラメーターの変化を記録するには、トラックDSPsパネルのスライダーを "マウスの右ボタンでドラッグ" します。 これは曲の再生中にリアルタイムに動かしても記録出来ます。詳しくは第1章の「エフェクターの扱い方」を見てください。




エフェクト・コマンドについて

パターン・エディターに入力出来るエフェクト・コマンドについては「エフェクト・コマンド・リスト」を参照してください。






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