Track DSP settings
Track DSPs (Digital Signal Processors) とそれらのセッティングは、そのトラックに適用されるエフェクト群です。
たくさんの種類があり、その使用には少し経験が必要です。
それらのエフェクトを使って何が出来るかを説明するために、個々のエフェクトの最も一般的な使用方法を挙げてみました。
![]() The Track DSP settings メニュー
画面表示の配置 (左上から右下へ)
エフェクト画面のボタン
Track DSPs 画面の使い方エフェクトをトラックに追加するには、まずカーソルをエフェクトを掛けたいトラックに移動させます。 カーソルをどんどん動かしてみればエフェクトのリストも変化するのがわかるでしょう。 さて、"Available" のエフェクト・リスト画面からダブルクリック (又は右クリック) でエフェクトを選びましょう。 エフェクトの画面が出ましたか? そこでエフェクトのパラメーターを変更したり、また別のエフェクトを追加したりできますよ。 また トラック・オートメーション や パターン・エフェクト・コマンド を使えば、エフェクトを自動化出来ます。 この方法は、再生中に (リアルタイムで) エフェクト・パラメーターを変更可能です。 いくつかエフェクトをトラックに設定して、そこでサンプルがどう鳴るかを試してみましょう。 もしいま一歩なら、あなたが思ったような音になるまでエフェクト・パラメーターを修正しましょう。 エフェクトを追加して動作させる事は簡単に出来ますが、使い方をマスターするには経験を積みいろいろな使用例を参考にすることが必要です。 チュートリアル で使用例を探してみてください。 Renoise のエフェクト処理はとても速いですが、たくさんの CPU 処理能力が必要になるかもしれません。 ですからエフェクトの掛け過ぎには気を付けてくださいね。 エフェクトの詳細トラックのセッティング画面は常に表示されます。基本的なトラックのパラメーターはここで設定してください。
Gainerこれはとてもシンプルなエフェクトです。しかし適切な音のバランス調整のために大変役に立つエフェクトです。 トラックのボリュームを増幅させたり、パンを変更したりするために gainer を使います。 このエフェクトのボリュームとパンの値は、トラック・セッティングのボリュームとパンの値に追加されます。
DC Offset普通、波形には2つの最大値 (正と負) そして中心 (ゼロ) があります。 DC offset の発生している波形のセンターラインは、デジタルなゼロの位置から少しプラスかマイナスの方にずれてしまっています。 これはダイナミクスの減少を招いてしまいます。DC Offset エフェクトは センターラインを "ゼロのラインへ" 戻します。 "DC Offset" については 用語集 も参考にしてください。 このエフェクトは DC offset の発生している粗悪なサンプルの波形の端がクリップするのを防ぐ事が出来ます。 もちろんそれはまた、故意にクリップする音を作り出す事も、必要ならば可能です。
GateNoise Gate はスレッショルド (閾値) のレベルより下のノイズを減少または排除できる、特別なタイプのエキスパンダーです。 gate は同類のデバイスですが、一般的にはノイズの除去のために使われるものではありません。 普通は個々のビートのレベルの感度を増やしたり減らしたりするために使います。 言い換えると、もしドラム・ループを使うなら、Gate を使ってループの特定の部分 (ボリュームが小さい部分) を排除したり、 ループのグルーブにバリエーションを与える事が出来ます。 基本的に、もしオーディオの信号がスレッショルドよりも少ない場合、それはボリュームを下げます。 しかし、信号自体は使われません。代わりに、それはエンベロープの推移を使います。 このエンベロープの推移をコントロールするには、Gate デバイスの attack, release, hold のパラメーターを使います。
Shaper現在広く使われている最も強力な生成ツールのひとつが Shaper です。これはコンプレッサー/リミッターの一種です。 Shaper は、静かな部分のボリュームを上げ、うるさ過ぎる部分のボリュームを下げて音を "ぎゅっと詰め込む" エフェクトです。 以下のセッティングでは、この処理のための基準を設定します。 その結果、ボリュームの振幅のバランスがとれますが、ダイナミック・レンジは狭くなってしまいます。 そのような圧縮された音が増幅されれば、結果的に元の音よりも大変大きな音になります。 最近の CD 等を聴けば、何年も前に発表された CD よりも格段に音が大きくなっている事に気付くでしょう。 最近のポップ・ミュージックの製品のほぼ全てに基本的にコンプレッサーが使われている理由はここにあります。 コンプレッサー/リミッターはマスター・トラックの音を全体的に上げるために使うことが出来るエフェクターなんです。 コンプレッサーはボーカルの音量をあなたが必要な一定のレベルにするのに大変役に立ちます。 普通なら、この問題を知らないような歌い手の場合、ボーカルは適切に作業するには程遠いくらいの大きなボリュームで録音されてしまいます。 特に、ボーカルにボコーダーのようなエフェクトを掛ける場合、出来る限りボーカルを密集させる (圧搾する) 必要があります。 これらすべての場面で、コンプレッサーは掛け過ぎるべきではない事に注意してください。 その結果はダイナミクスの不足した雑な音になるだけですし、コンプレッサーの使いすぎは "Pumping" の状態にもなります。 一方、リミッターは最大ボリュームの振幅を一定の値に制限します。 それはラジオの放送局で音が歪むのを避けるために最大信号に制限をかけるのに使われたり、 クラブで音を上げ過ぎてスピーカーが焼けてしまうリスクを減らすために使われたりします。
Lo-Fi Matもしかしたら音が良過ぎる場合もあるでしょう。 Lo-Fi Mat を使えば その音の音質を下げ、ノイズを追加することが出来ます。これはドラムの音や声に、またはディストーションと一緒に使うと非常に効果的です。 このエフェクトの事を "Mr. Oizo (テクノ系のアーティスト?) のエフェクト" と認識している人もいるでしょう。
Distortionこのエフェクトはサンプルの音質を下げますが "強力な" サウンドを与えてくれます。 ディストーションには2つのタイプがあります : Amp と Fuzz です。Amp は音を過大に増幅させることで歪ませます。 Fuzz は (スレッショルドの) レベル調整と過増幅によって音を歪ませます。 ディストーションは大抵、ギターや 303 sounds に使われますが、リードやバスドラム等にも使われる事があります。 歪んだギターの音なんて嫌とゆうほど聴いた事があるでしょう? それがディストーションです。もし歪んだ 303 lead を聴きたいと思ったなら、 チュートリアル を見て、どのような音なのかを知ってください。
Filterこれはテクノやトランス好きの人達が愛用しているエフェクターです (もちろん彼らだけではありませんが)。 このエフェクトを 303 ベースライン、ベース、ストリングス、さらにはボーカル!なんかに使ってください。 cutoff frequencies の色々な値は特にあなたのサウンドを豊かにするでしょう。 チュートリアル を見て、フィルターを掛けたストリングスがどうゆう風に鳴るかを学んでください。 Moog filter, Lowpass, Highpass, またはそれ以外の filer で試してみましょう。
フィルターのタイプ (ボタンで選択) フィルターのタイプを選ぶには、まずメイン・フィルター形式を左右の白い三角の矢印ボタンで選んでから、 その下に表示されるサブ・フィルター形式を選択してください。
EQ5 / EQ10イコライザーは band-pass filter の一種で、特定の周波数帯の信号を大きくしたり静かにしたり出来ます。 それはボーカルを抜き取ったり、ベースやハイトーンをカットしたり個性的な音を演出したりするのに使われます。 ここでは 5-band または 10-band のイコライザーが選べます。これらは周波数スライダーの数が違うだけです。 (EQ10 は 10 個のスライダーがあるのでより細かなコントロールが出来ますが、たいていはコントロールし易く CPU 消費も少ない EQ5 でも十分です)。
FlangerFlanging はとても個性的な音です。 "whooshing (シューって感じの音)" またはジェット機が通過するような音と言えばいいんでしょうか。 このエフェクトはまず、元々の音をコピーした音と、そのわずか 2-3 ミリ秒スタート位置をずらした音を作ります。 その後、この "ずれ" を周期的に (LFOのように) 変更します。 そしてそれらの音を一緒に鳴らした結果が "flanging" エフェクトになります。 Flanger をストリングスや 808 スネア・ドラム、そして全てのリード音に使ってみてください。 どんな音にでも明確な色づけを与えてくれるでしょう。
PhaserPhaser または phase shifter は特殊な種類の flanger で、ディレイさせる前の元々の音にフィルターを掛けます。
StereoExpanderこのデバイスはステレオの信号をモノラルに減らしたり、入ってくる信号をステレオに広げたり出来ます。
Delay (Echo)このエフェクトを使っていない曲を想像する事は、まず無理でしょう。 これは単純に元の音を繰り返します (エコー)。もしそれが曲のスピードや拍子に同期していなければ、 とてもおかしな音に聞こえるでしょう。 ですから左右の三角の矢印ボタンで 1〜16 までの適当なパターンライン数を入力し、そこにディレイを自動的に調和させる事が出来ます。
ReverbReverb は何百、何千回と繰り返したエコーです。 それは大きなホール、廊下、深い渓谷、壁や山の間のオープン・スペース、教会やその他の音響的な部屋で発生します。 普通、元の音から発生したたくさんのエコーはとても速くあなたの耳に届くので、それらを個々に聞き分けることは難しいでしょう。 そのあなたが聞いた "元の音のエコーの集まり" が "Reverb" と呼ばれるものです。 その音はまた、部屋の壁によって元の音の特定の周波数をカットされ、部分的に "damp (鈍る・湿る)" な状態になります。 これらのパラメーターはすべて、この Reverb エフェクトによってコントロール出来ます。
リバーブやエコー・エフェクトをボーカルやリードで使う方法誰もが知っているかもしれませんが、ちょっとした秘密を皆さんに紹介させてください。 どこが秘密なの?と不思議に思うかもしれませんね。ですが、もしあなたがそれを知っていたとしても、大抵の場合、あまりわかっていない事が多いんです。 説明しましょう。: 全てのリード楽器とリード・ボーカルにはリバーブやエコー・エフェクトが必要です。 ほんとに特別な例だけ、このルールからは除外します。 なぜこれがそんなに重要なのか? まず始めに、外界の雑音から音響的に隔離された部屋が一番いいんですが、 あなたはどこかのスタジオに入った事があって "無音の音 (sound of silence)" を聞いた事があるでしょうか? もしあるとすれば、私たちが一般生活の中で聞いている全ての音には少なくとも少しのエコーやリバーブが掛かっているんだ、とゆう事に気付いたかもしれませんね。 何も大きなホールや渓谷に行く必要はありません。 あなたが今座っている部屋でさえ、小さなルーム・リバーブが掛かっています。 試しに手を叩いて聞いてみればわかります。 これが、リード楽器やボーカルにリバーブやエコーを掛けた方が人の耳にはより自然な音に聞こえる理由です。 つぎに、もしリード楽器やボーカルをこれら時間系のエフェクト無しで使うとしたら、 その音は何の加工もされず、生のままの非常に淡白なものになってしまいます。 そこに一度でもリバーブを加えれば、もっと満たされて広がりのある音になるでしょう。 それはまるでマジックのように、モノサウンドをステレオに変え、細い音を太くするでしょう。 しかし注意してほしいのは、これは罠でもあるんです! リバーブの掛け過ぎは、他の全ての音を覆い隠してしまいます。 あなたの mix の中で 2,3 の楽器しか使ってないのならそれは効果的ですが、 もし楽器をたくさん使っているのなら、一度冷静になってリバーブを下げましょう。 そうしないとリバーブを掛けた音以外は全て前に出てこなくなります。 たった一つの音だけが前に出てきて残りの音は覆い隠されているような状態は、信じられないくらいあなたの耳を圧迫してしまいます! ところで、ベースの音にリバーブは使わないでください! ベース音は既に太くワイドなので、非常に音響的なスペースを占領していまいます。 しかしまれにですが、リバーブを掛けたベースもイイ感じに鳴る場合があるので、 注意深くこれらのベース音からリバーブを抜き去ってください。 VST エフェクトVST プラグインのパラメーターはプラグインによってそれぞれ違います。 いくつかのエフェクターはそれ自体の操作画面も持っています。"Open Editor" ボタンをクリックすれば開きます。 たくさんの VST エフェクトが使用可能ですが、それら全てについてここで説明するのは不可能です。 VST エフェクトは内蔵 DSP エフェクトと同じように使えます。 あなたが使いたいだけのエフェクトを全て一緒に使う事が出来るんです。 ![]() VST プラグインがどのように表示されるかの一例
Non DSP DevicesTrack DSP 画面の "Available" リストに表示される "Meta Device" とゆう部分を ダブルクリック (又は右クリック) して開きます。その中にある左側に米印が付いたデバイスが non DSP Devices です。 これらのデバイスは、それ自体ではオーディオの流れを作り出したり出来ません。 普通の DSP エフェクトと同じように追加出来ますが、サンプルにエフェクトを掛けたりは出来ません。 これらには他の役割があるのです。それを今から説明します。 LFO Deviceこれは他のデバイスの様々なパラメーターを LFO を使って自動制御出来るデバイスです。 LFO デバイス内の LFO パラメーターを設定し、目的のデバイス内のパラメーターの動きを自動化します。 VST automation device や、他の LFO Device でさえ使うことが可能です。
MIDI CC Deviceこれは MIDI や VST インストゥルメントの Controller Changes (CC) を送信、記録、自動化する手助けをしてくれるデバイスです。 エフェクター画面で、それによって操作されている VSTi のパラメーターの動きが確認出来ます。
MIDI インストゥルメントを選んだ時、それは MIDI の device/channel と delay のセッティングを使用します。 VST インストゥルメントを選んだ時、CC の信号はこの VSTi に送られます。 一般的に VSTi の全てのパラメーターは CC メッセージによってコントロール出来ます。 VSTi に付いている説明書を読んで、どのパラメーターがコントロール出来るのか、どのコントローラー番号を使うべきか等を見つけてください。 4列に並んだスライダーのそれぞれの部分の説明 :
"MIDI に特化したコントローラー" を探して "標準規格" のコントローラー番号のリストを手に入れてください。 VSTi Automate Deviceこのデバイスは VSTi のパラメーターをエフェクト・スライダーに変換する為に使います。 後で Track Automation で VSTi をコントロールするのにも使います。ですから実際には VSTi をコントロールする為のデバイスです。 それはたくさんの異なった VSTi パラメーターをコントロール可能です。 コントローラーの配置はユーザーが指定出来るようになっています。(コントローラーの番号は VSTi パラメーターの数字と同じにする必要はありません)。
Send Deviceセンド・トラックは既に "はじめてみよう"のページ で説明しています。 ですから、もしセンド・トラックについて全く知らないのなら、その段落を読んでみてください。
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Renoise manual version 1.0a | http://www.renoise.com |