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スコープ画面

上部右側にあるタブでスコープ画面の開閉・切り替えができます。

1. トラック・スコープ

 いわゆる伝統的なTrackerの面影を残すトラック・スコープは、見た目が楽しいだけでなく、幾つかの便利な機能も隠されています。

  • 現在カーソルがあるトラックとマスタートラックは他とは違う色(この図では黄色)で表示されます。

  • 各トラック表示の真ん中あたりを左クリックすると、そのトラックを OFF状態に出来ます。もう一度左クリックでOFF解除です。 ここをOFFではなくMUTEに変更する事も出来ます。それぞれの動作の違いについては環境設定パネルのMisc欄の一番下にある解説を見てください。

  • 各トラック表示の真ん中あたりを右クリックすると、そのトラックをソロ状態に出来ます(他のトラックが全てミュートされる)。もう一度右クリックでソロ解除です。 このソロ動作は2種類あり、変更する事が出来ます。それぞれの動作の違いについては環境設定パネルのMisc欄の一番下にある解説を見てください。

  • 各トラックの名前表示をクリックすると、瞬時にそのトラック上にカーソルが移動します。

  • トラック・スコープ上でマウス・ホイールを動かすと、各トラックにカーソルを動かす事が出来ます。

  • もしそのトラック内で"#Send Device"を使っている場合、左下に送り先のセンド・トラック番号が表示されます。

  • もしそのトラック内でMIDI音色を使っている場合、右下にMIDI送信シグナルが表示されます。

 このように、トラック・スコープ画面は3つのスコープ画面の中でも最も多機能です。 ただし、機能的にはミキサー画面とダブってしまう部分もありますので、好みで使い分けるといいと思います。



2. マスター・スペクトラム

マスター・スペクトラム画面は2つに分かれます。左側のスペクトラム・アナライザーと右側のフェーズ(位相)メーターです。



スペクトラム・アナライザー

スペクトラム・アナライザーは、マスター・トラックの出力音のスペクトル構造を解析し、人間の耳で聞こえる範囲(大体 20 ~ 20,000 Hz)の結果を表示します。 あなたの曲のキャラクターを解析し、ミックスの中で飛び出たり欠けていたりする周波数域が無いかどうかを確認するのに便利です。

この画面上にマウスを持っていくと、その位置の詳しい数値(Hz, 音名, dB)が表示されます。

 例えばあるトラックをソロ状態にしてからこのスペクトラム画面を見ると、その楽器が主にどの周波数帯で鳴っているのかが視覚的に確認出来ます。 逆に言えば、EQやフィルターでどの周波数の音を削っていいのか、という目安にもなります。そうやってミキシングで"音の住み分け"を明確にしていきます。



アナライザー画面上で右クリック・メニューを開くと各種オプション設定が可能です:

  • Show Phrase View
    フェーズ・メーターの表示/非表示。
  • Show Scopes/Show Spectrum
    「Show Scopes」を選択すると、後述のマスター・スコープ画面に切り替わります。 「Show Spectrum」で、スペクトラム画面に戻ります。
  • Display A/B
    スペクトラム・アナライザーの初期設定では、マスター・トラックと現在選択中のトラックの2つを比較表示するように設定されていますが、 このオプション設定でそれらを任意のトラック同士の比較に変更する事が出来ます。
  • Drawing Mode
    上図のような、4つの描画モードを選択出来ます(線的なカーブ、色で埋まったカーブ、1/3 オクターブ、スペクトログラム)。
  • Spectrogram Speed/Colors
    スペクトログラム・モードでのスピードと色の設定。
  • Frequency Scaling
    周波数のスケーリングを選択。対数的な目盛(Logarithmic)と線的な目盛(Linear)。
  • Block Size
    波形の描画解像度の設定(Block Size が上がるほど cpu負荷が掛かります)
  • Channel Mix
    マスター・スペクトラムの解析方法の設定。
    • L+R combined・・・ステレオ信号を結合させた状態から算出する。
    • L+R seperately・・・左右のチャンネルから個別に算出する(cpu負荷が掛かります)。
    • M/S mid・・・M/Sステレオ方式(左右 2 チャンネルの音を和信号と差信号として記録する)のミドル(和信号)から算出する。
    • M/S side・・・M/Sステレオ方式のサイド(差信号)から算出する。
  • Peak Fall
    波形表示で、ボリュームが上がった状態から下がった状態へと落ちるスピードの設定。
  • Slope Factor
    1オクターブ毎に追加されたボリュームの人為的量を表示。


 本家フォーラムでたまに見るのですが、Renoise の CPU 負荷が変に高い(何もしていなくてもある程度の負荷が掛かっている)というレポートがあります。 そういう時、もしかしたらこのスペクトラム画面が関係しているかもしれません。

ブロック・サイズを下げる、または、環境設定パネル >> GUI >> Global欄の "Limit frame rate to XX-fps" という設定で、GUIのフレーム・レートを下げると負荷も下がる可能性があります。








フェーズ(位相)メーター

マスター・トラックから最終的に出力されるオーディオの、左右のバランスや位相の状態を表示する画面です。 この画面には上下に2つのメーターがあり、上がステレオ・メーター、下が位相相関メーター(Phase Correlation Meter)です。



ステレオ・メーターの仕組み

例えば上図のようなステレオ波形があるとすると、Lチャンネルの波形はステレオ・メーターの左下から右上に流れ、Rチャンネルの波形は右下から左上に流れる、と想像してください。 ちょうど45度の傾きで交差している状態です。

で、図の水色と赤色のライン上に波形が通過するポイントが生まれます。その2つのポイントがステレオ・メーター上で指し示すポイント(お互いの軸に沿って平行に線を伸ばして交わるポイント)、そこが音の鳴る再生位置として表示されます。 実際には波形はかなりのスピードで動いているので、再生位置の軌跡が表示される、と言った方がいいでしょう。

ステレオ・メーター上の各エリアについてですが:

  • [1] のエリア:+L / +R
  • [2] のエリア:−L / −R
  • [3] のエリア:+L / −R ・・・位相にずれがある
  • [4] のエリア:−L / +R ・・・位相にずれがある

という事がわかります。(ただ最終的なミックスの場合、様々な楽器の音が混ざっているので、位相がずれているから全部ダメって単純な事ではないようですが・・・)

図の様に、L/Rの波形が全く同じ場合(モノラルの場合も)、ステレオ・メーターは [1] と [2] のエリアに伸びる1本の線になります。

そして、どちらか一方のチャンネル位相を反転し、L/Rが完全に対称的な波形になると逆相と言う状態になり、ステレオ・メーターは [3] と [4] のエリアに伸びる1本の線になります。 この逆相状態では信号は常に左右で打ち消し合うので、このままモノラル出力にミックスすると音が消えてしまします(Phase Cancellation)。 (ステレオで出力していれば逆相の音は聞こえます。ただ、こういう逆相の音は自然では無いので、何か芯が無いような気持ち悪い音になります。)

つまりミックスの中で、必要な音がどうもうまく前に出てこないとか、何か気持ち悪い音が鳴っている場合は、位相のずれを疑ってみてください。 あまりにも過度にステレオ・メーターが [3] と [4] のエリアに及ぶ場合は注意が必要かもしれません。



 DJセットやクラブ等の現場、又は普通のステレオ環境が意味を成さないような広場等で、PAシステムが全てモノラルにミックスされている!?という場合が意外とあるんだそうです。 自分の曲をかけてもらったら、何かベース音が全く鳴らないスカスカな曲になっちゃった、という失敗談もありました。 そんな時でも必要な音が消えてしまわないように位相のずれを意識しておく必要はあるそうです。







位相相関メーター(Phase Correlation Meter)
  • +1.0 の時:LとRの波形が完全に同じという事を意味します。

  • 0 よりも右側の時:LとRの波形をミックスしてモノラル化しても問題は無い(音の打ち消し合いは起こらない)事を意味します。

  • 0 の時:LとRの波形の間には許容範囲内で最大の差があり、最も大きなステレオ効果が得られる事を意味します。

  • 0 よりも左側の時:位相がずれた素材がある事を意味します。モノラル化すると音の打ち消し合いが起こります。

  • −1.0 の時:LとRの波形が完全に対称(逆相)である事を意味します。モノラル化すると無音になります。



 正直言って、私はこのフェーズ・メーター周りに関しては説明に自信がありませんでした。
なので幾つかネットで検索してみた所、「FlawTips の音的ウェブ」というサイトさんの説明を読んで初めて「お〜!なるほど」とその仕組みを理解出来ました。 動くグラフ等、非常にわかりやすい説明があるのでお勧めです。

また、位相相関メーターに関しては Apple 社の Logic のマニュアルを参考にさせて頂きました。





3. マスター・スコープ

この画面だけは専用のボタンが無く、スペクトラム画面の右クリック・メニュー内の「Show Scopes」を選択すると表示されます。 マスター出力音の左右のバランスを表示する画面なのですが、他の2画面に比べて機能もシンプルで使用頻度も少ない為に、何となくオマケ扱いされている感じですね。(^^;)

ですが、例えばRenoiseのサンプラー画面で、シンプルなサイン波やノコギリ波などを使って音作りをする場合等に、オシロスコープ的な用途で役立つ場合があります。








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Renoise Japanese manual | http://www.renoise.com